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人に悪く思われたくない、嫌われたくない [生徒]

チャレンジ高校の受験が終わり、高校からは英語の学習で通ってきているFちゃんが、自分を責め、マイナスのドツボにはまってしまっています。
毎週、土曜日はFちゃんが来る日で、英検2級の試験も近づいているので、昨日は直近の2022年の3回目の英検の試験問題をネットから拾って印刷して、それを本番と同じ時間内でやってもらう計画を立てていました。
1カ月後の試験に向けて、現段階で、自分がどれ位出来ているのかを確認するためでした。

英語で通い始めてから丸2年、中学の復習から始めたのに、2級を受けるところまで実力がついてきたのは、Fちゃんがかなり優秀だったからだと思います。

ところが、昨日は授業は全く出来ずに、学校で直面している悩みを聞くだけで終わってしまいました。
詳しい内容は書けませんが、その件で、Fちゃんは夜中にアンに相談の電話をかけてきたり(めったにそういうことはないので、それはいいことだと思いましたが)、先週からずっとそれを引きずっています。

2021年の「チャレンジ高校受験を振り返って」では、Fちゃんが極端に自己肯定感が低いことを書きましたが、それも受験を通して自分を振り返り、また学校にも通えるようになったことで、必要以上に自分を否定し、責めることはなくなっているように思えました。

ところが、友だちとの間にちょっとした行き違いが生じると、途端に自分を責め、自分にはいいところがないから、友だちに嫌われているに違いないと思い詰め、寝ても覚めてもそのことで悩み続けることになります。

そうなると、もう勉強どころではなくなります。
Fちゃんに限らず、不登校だった生徒にはよくあることで、こんな時は、「気にしないで」と言っても無理で、どういう経緯を経て、自分が友だちに嫌われていると思ったのかを、具体的に聞いていきます。
自分が言った言葉、相手の言葉、相手の態度などを振り返ってもらいます。
同時に、人として見た場合に、Fちゃん自身に人から嫌われるような要素はないことも伝えます。
Fちゃんは自分の悪い点を、次々にあげていきますが、どれも取るに足りないものです。


このように一つずつ、アンと一緒に考えていくと、気になっていた事柄を客観的に見られるようになって、気持ちも落ち着いてきます。

友だち関係の悩みを親に言う生徒もまれにはいますが、黙っていて一人で抱え込む場合が多いし、言ったところで親も忙しいので、それほど丁寧には聞けないということもあります。
また、親には心配をかけたくないという生徒もいることは確かです。

思春期の生徒は誰でも、人に悪く思われたくない、嫌われたくないという気持ちはあると思いますが、それが極端になると、心や体にも支障をきたすので、注意が必要です。

Fちゃんは、塾にも週に4日も通い始め、本格的に受験勉強に着手しようとしていますが、それ以前に、一人でもいいので仲のよい友だちを作り、「人からどう思われるか」を必要以上に気にしなくなる練習をする方がいいように思います。
まず、自分の弱みを見せることが、友だちを作るいい方法だと思っています。
そこから相手も自分と変わらないと思えたり、共感も生まれてくるからです。

Fちゃんは、このままいくと、大学に合格しても通えなくなる可能性が大きいと懸念しています。
そうならないように、勉強面だけでなく、精神面のサポートもしっかりしたいと思っています。

まず、自分から「おはよう」と言える練習をすることでしょうか。

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15年後の変化 [生徒]

15年以上、付き合っている女性(彼女は自分のことをカタカナでセイトと言っています)が最近頻繁に通ってきています。【彼女の前回の記事は「先生は味方ですよね」でした】(
派遣で工場の仕事をしていて、仕事が途切れると、アンのところにやって来ます。
昨日も来たのですが、話のメインはやはり中学時代の友だちの話でした。

当時、クラスで仲間外れになっていた彼女にやさしく接してくれたクラスメートが2,3人いて(来るたびに、また彼女の手紙にも何度も同じ友だちの名前が出てくるので、アンも覚えてしまっているのですが)、その友だちと会って話をしたいというのが、長年の彼女の願いです。

手紙も頻繁に出していて、たまたま相手が電話に出たときに、「会いたい」と言ったら、彼女も「そうだね。そのうち会いましょう」と言ってくれたらしいのですが、それはずっと実現しないままだと言います。

中学を卒業して30年も経つのに、仲のよかった友だちならともかくとして、中学のいじめの経験から抜け出せずに、「あの時なぜ、クラスのみんなは私をのけ者にしたのか」がどうしても納得出来ずに、それを問い正したい彼女に対して、友だちが本心から「会う」と言ったのかは疑問だと思いました。

みんなそれぞれ現在の生活に精一杯だと思いますし、私が全く仲がよくなかった友だちに突然「会いたい」と言われたとしても、「今さらどうして」と不審に思い、断ると思うのです。
けれど、彼女は友だちが「会いましょう」と言った言葉をそのまま信じています。

私がずっと以前にシナリオの勉強をしている時に、「言葉はうそつき」と教わりました。
社交辞令というのもあるし、人はなかなか本心を言わないし、相手にとって都合が悪いことは言わないと思います。
悪く思われたくないからです。

昨日、彼女に初めて、「どうして私のところに15年以上も通ってきているの。私のどこがいいの」と尋ねたら、「信用出来るから。うそは言わないから」とのことでした。
言われてみれば、アンはお世辞は言わないし、彼女にとって都合が悪いことも言ってきました。
アンは自分にとって都合がいいことを言う人は信じないほうがいいと思っています。

タイトルの内容が一番最後になってしまいましたが、彼女の変化とは、これまで彼女が私に送って来ていた何十通かの手紙を持ち帰ったことです。(ごく一部ですが)
それも私に言われたからではなく、自分からそうしたのです。

私は「最初から今までずっと同じことを書いてきているわよ。自分で読み返して、振り返ってみたら」と言いました。
過去のことではなく、未来に目を向けてほしいとはずっと思っているのですが、もう何年も前からそれを言うのはやめました。
アンが何を言おうと、自分がそう思わない限り、彼女が変わっていくことは出来ないと思うからです。それでも、手紙を持ち帰ったのは大きな変化です。

彼女は行動力はあるので、気持ちが変われば、さらに前に向かって行けるのではないかと思います。
これからも彼女の意思を尊重しながら、付き合っていきたいと思っています。

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先生は味方ですよね [生徒]

もう15年以上、関わっている生徒がいます。
始まりは、彼女が30歳頃だったと記憶しています。
勉強を見るのではなく、悩みの相談です。
もう十分に大人なので、生徒という言葉は合わないと思うのですが、彼女自身、生徒だと思っているので、そのつもりで付き合っています。

中学時代に不登校になり、出会った頃は引きこもりでした。
現在は父親と一緒に住んでいて、週に何日かバイトをして、小遣いや被服費、通信費などは賄えています。

この15年以上、彼女はいつも同じ話をしています。
家庭塾に来るのは、年に数回ですが、少なくても1か月に1回、多い時だと1週間に1度の割で、手紙が届きます。
「中学の時、なぜみんなは私のことを無視したのか」「親はなぜ、東京から千葉まで引っ越して、強制的に私を転校させたのか」、そのことは中学卒業以来30年経ってもなお、彼女には納得できないことです。

彼女はずっと変わらない願いを持ち続けています。
それは、中学の時に、自分にやさしく接してくれた友だちと、会って、話をすることです。
その友人達には何通も手紙を出したり、誕生日にプレゼントを贈ることを続けていると言っています。
同窓会もあるらしいのに、彼女にはいつも連絡がこないそうです。

過去にばかりこだわらないで、前に進むことを考えてほしいと思うのですが、それは無理のようです。
本人が思っていることは、簡単には変えられません。


高校は通信制の高校を6年かけて卒業しています。
その6年間のノートは取ってあって、それを読んだだけで彼女が頑張った様子が伝わってきました。

ここ何年かは、自分の外見も意識するようになって、お化粧をしたり、身ぎれいにしています。
私と出会った頃は、「東京で事務の仕事がしたい」と言っていましたが、今はそれは叶わないと思ったようで、あちこち面接を受けながら、自分に出来る仕事をしているようです。
彼女は行動力もあり、他にもいいところがあるのに、私がそこを認めても、そこはいつも流されてしまいます。
お世辞でなく、本当のことを言っているのに、自分の長所は見ようとしません。
今は自己肯定感は低いというわけでもないと思います。
悩みながら、模索し続けて、いろいろ経験していることが力になっている気がします。

彼女の手紙にも書いてあり、家庭塾に来ても、彼女が必ず言う言葉があります。
「先生は私の味方ですよね」、「ずっと私の味方でいてください」

私はいつも彼女の考えや、思考のくせをただ黙って聞いているだけではなく、反対意見も言っています。
ただ、彼女がずっと私と付き合ってきたのは、彼女をまともに相手にしない人が多い中で、つねに私は誠実に真っ直ぐに彼女に向き合っているからかもしれないと思っています。

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2023年の初頭に [生徒]

今年は喪中のために新年の挨拶は控えさせていただきました。

去年は息子の病気に悔いなく付き合いたいと思っていたので、新規に生徒の募集もしませんでしたが、今年は気持ちを切り替えて、再び、不登校や学力不振の生徒、特に都立チャレンジ高校の受験生に関わりたいと思っていましたが、現時点において、新規の生徒は一人も来ていません。

以前は家庭教師もしていたので、年末に家庭教師仲間との集まりをもって情報交換をしたのですが、それぞれに仕事が来ないと言っていました。
そのうち一人は家庭教師派遣の代表を務めていたのですが、かなり以前に辞めたと言っていました。
他の家庭教師は職業を変えたり、東京以外の遠方の塾に勤めたり、新しい資格を目指して通信教育を始めたり、いろいろです。

私の仲間たちは、勉強が苦手な生徒を指導する先生方で、今は不登校や学力不振の生徒たちも減っているわけではないと思うのですが、仕事がないのがどうしてだかわかりません。

私も、今年もチャレンジ高校の受験生は一人も来なかったということになりそうです。
どちらにしても、今、目の前にいる生徒、新たに巡り合えるかもしれない生徒が希望の持てる未来を築けるように力を尽くしたいと思っています。
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Fちゃんの不調 [生徒]

チャレンジ高校の受験以来、ずっと通い続けているFちゃんのやる気が下がったままの状態がここ2カ月ほど続いています。
英検の準2級を目指して勉強していた10月初旬まではよかったのですが、それからが芳しくありません。
直前になって、通塾ではなくラインの授業にしたいと言ってきたり、来るときも1時間以上の遅刻は当たり前のことになっています。
それでもとにかく来ることが大事だと思うので、注意したりはしません。
不登校だった生徒には時々見られることですが、通い続けているかぎり状況は好転していきます。
自分の家にだけ閉じこもらずに、外に出ていくこと、他人と話すことが必要なのです。

Fちゃんは今は学校を休むことも多くなり、単位を落とす科目もあって、担任の先生から、3年で卒業するにはこの先かなりハードになるし、4年で卒業することも視野に入れたらどうかと提案されたようです。
それはFちゃんにはかなりショックなことで、さらに気持ちを落ち込ませるものになってしまいました。

10月から通い始めた進学塾も、11月からは通えてないといいます。

お父さんとの話し合いの結果、塾はひとまず置いておいて、学校を休まないで単位を取り、3年で卒業することを目標にするということになりました。

Fちゃん自身も気持ちはあっても、やる気が湧いてこないらしく、そんな自分の状態に苦しんでいるように見えます。
やはり、6月に急死したお母さんのことが影を落としていることは否めません。
度を超えて、疲れやすくなっていることも気になります。

こんな状態の時は、アンがいくら叱咤激励してもいい方向に進むことはないと思いますし、本人がどこかで気持ちを切り替えるのを待つしかありません。
ただ、言えることは、やる気というのは自然に出てくるものではなく、やるべきことを淡々と積み上げていく中で、出てくるものだと思うのです。

アンが出来ることは、出来るだけFちゃんの話を聞き寄り添うこと、宿題はきちんと出してそれをやってもらうことしかありません。

4年で卒業する道を選び、気持ちを立て直してから大学に進学したほうがいいような気もします。
このまま受かりそうな大学を受けて入学しても、大学に通えなくなる可能性も出てくると思うからです。

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進路決定 [生徒]

10日ほど前になりますが、現在、英語を勉強しに通って来ている高校3年のU君から専門学校に合格したという電話がありました。面接試験を受けてからというもの、結果が気になっていたので、合格通知が届いてからすぐに連絡をもらいほっとしました。

その後、お母さんからもメールをいただきました。

U君のお母さんからのメール
ご報告を

先生、こんにちは。

Uから連絡があったと思うのですが、昨日、●●専門学校から合格通知が届きました。

急な面接指導にも対応していただきありがとうございました。
面接では中学の時の病気のことなども聞かれたようです。

合格通知をもらい、とりあえずひと安心ではありますが、これからの4年間が大変だと思いますので、根をあげずに頑張ってもらわないと、とUには念を押しておきました。

先生には高校受験からずっとお世話になりほんとに感謝しております。

取り急ぎご報告いたします。

   ===========================

U君は、「2016年 都立チャレンジ高校受験を振り返って(2)」の生徒で、チャレンジ高校を受験して不合格になり、通信制サポート高校に進学した生徒です。

9月くらいまでは大学進学を希望していて、夏休みに大学進学のオープンキャンパスにも出かけていたのですが、その後、滑り止めで専門学校を受けて、一般受験で大学を受けるというふうに変わり、10月中旬頃に、進路を専門学校一本に絞りました。
アンは、勉強をしないU君には、大学の推薦入試も一般受験も無理だと言い続けていたので、進学するとしたら専門学校が妥当だと思っていました。
専門学校に進路を決めたものの、自分に何が向いているのか、何がやりたいのか判断がつきかねていたので、ネットで調べたり、専門学校の説明会に行ったりして、何とか自分の興味が向く学校を探してきました。
AO入試の提出期限には間に合わずに、自己推薦で試験を受けることになりました。

募集要項を読んだ限りでは、自己推薦には面接はないとのことでしたが(エントリーシート作成にはアンも関わりましたが)、突然に、専門学校から連絡があり面接試験を受けることになりました。
U君もお母さんも意外だったようですが、中学の時以来、回復しているとは言い難い、起立性障害(朝、めまいや吐き気などのために体調が悪くなる)のために、遅刻や欠席が多く、また成績もいいとは言えなかったために、面接が課されることになったのだと、アンは推察しています。

期末テストの時期とも重なり、ハードだったと思いますが、あまり簡単に受かるのは良くないとアンは考えていたので、かえって良かったと思いました。

それから約1週間後、U君がいつも通り英語の授業を受けにきました。
まずは、直接に「おめでとう」を言うことから始まりました[ぴかぴか(新しい)]

アンの予想通り、家庭塾に来るのもこれで一区切りということでしたが、やりかけの問題集が中途半端になっているのが気がかりなようで、幾つか的を絞ってやってみました。


これまでアンの出す宿題を一度もやってこなかった生徒というのも珍しいので、それを言うと、やってきたこともあるとの返事でした。
今回の期末テストの点数も持って来て、アンに見せてくれましたが、まあまあの成績でした。
まじめに通って来て、アンのところでは集中してやれていたので、テスト結果にも、上記の問題集の解答にもやった分だけの結果は出ていたと思います。

勉強面はともかくとして、礼儀正しいこと、コンビニのバイトをはじめ、やり始めたことは続けること、頓着しない性格であることなど、いい点は多く見られます。
癒し系の性格であることも、特筆すべきところだと思っています。

最後になりますが、アンはU君のことをかなり気に入っていました。
別れは必ずやってくるものですが、やはり長く付き合った生徒と別れるのは寂しいです。

U君の課題は、勉強を面倒臭がりすぎないこと、自分にもう少し厳しくなることです。
気持ちを切り替えて頑張ってほしいです。



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家庭塾卒業後の生徒たち(3) [生徒]

前々回の記事、“学校という組織(都立チャレンジ高校)”では、チャレンジ高校の立ち位置や雰囲気が変わった感じがして、アンのチャレンジ高校に対する好感度が以前と比較して下がっていると書きましたが、チャレンジ高校に入って良かったという生徒もかなりの確率でいることは確かだと思います。

今日は、その生徒たちについ書いてみたいと思います。

一人目と二人目は、2013年チャレンジ高校受験を振り返って(2)のMちゃん(ブログに載せる絵も書いてくれました)と、2016年チャレンジ高校受験を振り返って(2)のK君です。
二人共、不登校の生徒で、姉弟でした。

今年の2月にお母さんからいただいたメールをそのまま紹介させていただきたいと思います。

===略===
お陰様で、Mは、もうすぐ無事に卒業出来そうです。何度も体調を崩しながらも頑張りました。
Kは、土、日も大好きな部活を頑張っています。
なんと、今のところ学校を皆勤なんです。
今が、一番楽しいそうです。
===略===

補足すると、Mちゃんは、チャレンジ高校は、体調の問題もあって、当初から4年かけて卒業する予定だったので、今年卒業でした。
昨年の11月には、Mちゃん自身から直接に電話があり、希望していた美術、デザイ系の専門学校に推薦で合格したといううれしい報告がありました。
また、子どもたちのために、昼も夜も働き続けていたお母さんも正社員になれたとのことで、メールをいただいた時点で、一足先に、春の気配が感じられ、うれしくなりました。


3人目は、2014年チャレンジ高校受験を振り返って(2)のC子ちゃんです。不登校ではありませんでしたが特別支援学級に通っていた生徒で、都立チャレンジ高校には不合格になり、都立エンカレッジ高校に進学した生徒でした。
記事が後追い後追いばかりになっていますが、C子ちゃんは、去年の11月、大学の指定校推薦が取れたとのことで、試験の前日、面接の練習にアンのところに来ました。それ以前にも、連絡があり、大学受験のためにアンのところに再び通って来たいという申し出は受けていたのですが、指定校推薦なら在籍高校の指導で大丈夫ではないかと、その時のアンは答えていました。ところが、前日にやって来たCちゃんは、自分なりにシュミレーションして、いろいろ面接の練習もしていたようですが、受験する大学についての情報も不足していたり、英語の先生になりたいという将来の夢は明確だったものの、その実力が足りない気がして、そこを面接で突つかれたらという不安が胸をよぎり、もっと早くに指導を開始していれば良かったと後悔しました。
結果は合格でした。
この4月から、C子ちゃんは大学生です。

特別支援学級の中等部から、普通の高校に入学するのは大変で、そのまま高等部に進む生徒が圧倒的に多いという情報は、この時期に、そして今もアンの耳にも入っています。けれど、C子ちゃんの能力を認めているお母さんの思いと情報収集力、チャレンジ高校に不合格になっても、合格したエンカレッジ高校で優秀な成績を修めたC子ちゃんの頑張りが実って、大学にも合格しました。

特別支援学級からは、2012年チャレンジ高校受験を振り返って(2)のK君が、昨年、一浪して大学に合格しましたが、Cちゃん、K君に共通するのは、根性があること、努力できることだと思います。

4人目は、2015年チャレンジ高校受験を振り返って(2)のO君です。O君は今年、チャレンジ高校の3年生になった生徒です。この5月にお母さんから連絡があり、大学のAO入試を受けたいので、アンに論文と面接を見てほしいとのことでした。中学の時は不登校でしたが、高校には毎日通って、部活もやり、クラスでも上位の成績をキープしているようです。5月は中間テストの時期なので、尋ねたところ、「頑張らないといい成績は取れない」と言っていたので、その言葉からO君の頑張りが伝わってきました。
O君が大学受験で、またアンのところに来ることになるのは、想像していなかったので、うれしい限りです。

O君は倍率が高いチャレンジ高校の生徒ですが、今、改めて思い起こしてみると、無理、無理と言いながら、勉強についてもやる気のある生徒だったのだと思いました。
そのやる気は本物で、面接や作文にも表れていたのだと想像できます。

O君との受験勉強はこれから本格化しますが、チャレンジ高校受験とは違い、アンも受験する学部に関係する知識が求められるので、そのために必要な本を読んだり、新聞もこれまで以上に丁寧に読み、切り抜きも始めたところです。
オープンキャンパスにも行こうと思っています。

最後になりますが、O君と同じ2015年に受験し、チャレンジ高校が合わなくて、やめたいと言っていたEちゃんも、思い直して何とか学校に通っているようです。
彼女も頑張り屋なので、前を向いて歩み続けてほしいと思っています。




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家庭塾卒業後の生徒たち(2) [生徒]


前回のブログの続きです。

2人目は、2015年「チャレンジ高校受験を振り返って(2)のA子ちゃんです。

A子ちゃんとは、昨年、チャレンジ高校に入学したての頃は、家庭塾で「不登校の生徒のしゃべり場」的なものをやっていて、そのメンバーにもなっていたので話を聞く機会もあったのですが、それからすぐに連絡が取れなくなって(メールアドレスが変わったためで、よくあることなのですが)、気になってお母さんにメールしたところ、お母さんから折り返しの電話があり、親子で近況報告に見えたのです。

昨年から、夏の短い期間だけ、花屋やでバイトしているというA子ちゃんは、手づくりのフラワーアレンジメントを持って来てくれました。アンが5月に鎖骨と肋骨を骨折したことを知って、そのお見舞いだというのです。この時期に、アンの体はすっかり回復していたのですが、思いがけないA子ちゃんとお母さんからのプレゼントに気持ちがふぁ~っと柔らかくなりました。うれしかったです。ピンクをベースにしたやさしい花々でした。

チャレンジ高校受験の折りには、お母さんやアンは、出来ることなら午前部か、午後の部に行ってほしいと思っていたのですが、Aちゃんは自分の意思を貫き通しました。結果は正解だったようです。夜間部が合っていたようで、午前部や午後部は賑やかすぎて、もしそこに入っていたらやっていけなかったかもしれないと言っていました。
先生方もいいそうです。

受験の時から、高校に入ったらアルバイトをして、早く自立したいと言っていたA子ちゃんでしたが、それは実現出来ていました。
夏の花屋さん以外に、週に何日か、学校に行くまでの時間、飲食店で働いているそうです。
バイト先も簡単に決まったわけではなく、面接もかなり受けたと言っていました。採用する側の基準がわからないだけに、続けて落ちるとへこむものですが、アンの知らないところで、A子ちゃんは頑張ったのだと思います。

チャレンジ高校は出席率が大事なので、それを尋ねたところ、バイトは休まないけれど、学校は時に休むことがあるとのことでした。バイトを終えてから学校に行くので、バイトのある日は休まないそうです。
欲しいものが沢山あるようで、そのためのお小遣い稼ぎかと思いますが、頼もしい限りだと思いました。
職場の雰囲気は悪くないようですが、それでも働いてお金を得るのは楽なことではないので、その大変さは想像出来ます。
人前に出ることが苦手で、繊細な神経の持ち主であるA子ちゃんならなおさらのことだと思います。

A子ちゃんは大人びたきれいな子で、自分の意見もしっかり持っていて、それを自分の言葉で表現出来るので、同年代の子よりしっかり見えます。
それだけに、内面の弱さや、相手の身になって考える本当のやさしさ、深さが、わかりづらいところがあります。
元気そうにしていても空元気であることが時に感じられます。
つらいのに何でもない振りをしたり、泣きたいのに強がってしまうところは変わっていないように感じられました。
人に弱みを見せたり、素直に甘えられるようになると、A子ちゃん自身、もう少し楽になる気がしています。

アルバイトまで出来るようになったのだから、もう大丈夫ということではなく、無理をしないで少しずつ進んでいってほしいと思いました。
A子ちゃんが望んでいる自立も、ずっと先のことにして、その時期が来るのを待つのが一番かもしれません。

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3人目は、今から10年前、家庭塾を本格的に始める前に大学受験で現代文を教えた(ブログでは「読み、書きから大学入試へ」で紹介した)Kちゃんです。
彼女は不登校や学力不振ではなく、中堅の私立高校で3年間部活に明け暮れていたため、受験勉強に出遅れてしまい、浪人することになった生徒でした。
小学校の先生になるのが夢だったのですが、やる気がイマイチだったことと、文章を読んだり書いたりすることが苦手とのことで、知り合いの家庭教師の先生から頼まれての仕事でした。
受験が近づいても、出した宿題をやってこないなど、甘いところが多々見受けられたので、「国立はとても無理だから、私立だけにしなさい」と本気で叱り、泣かせてしまったことも今となってはなつかしい思い出です。

そんなKちゃんも、今では立派な小学校の先生6年目で、去年、家を出て、本当の自立を果たしました。
小学校の先生は仕事が多くて大変だとよく言われていますが、Kちゃんも朝8時前に家を出て、家に帰るのは毎晩9時過ぎだといいます。
それでも、全くグチや泣き言を言わないのは、無理をしているのではなく、先生という仕事が本当に好きなんだと思います。
会う度に、生徒たちがかわいいと言っています。特に気に入った生徒も、合わない生徒もいなくて、みんな一様にかわいいそうです。
若くて、きれいで、威張ったところが全くないKちゃんは、きっと生徒からも慕われていることでしょう。

以前は、生徒や父兄よりも職員室の人間関係の方が大変だと言っていましたが、今は問題のある先生のもとで、学級崩壊に陥っている隣のクラスの生徒のことに心を痛めています。担任ではなくても、これまで教えた生徒も含まれているからだと言っていましたが、恵まれない家庭環境の子や、その親のフォローもしているのは、Kちゃんの人間的な温かさからだと思います。

結婚の予定についても尋ねてみました。「彼とは別れました。頼りなく思えてしまって。頼りなかった私が、こんなことを言うなんてと思われるかもしれませんが…」
確かに、出会った頃は、Kちゃんは本当に頼りない感じで、性格の良さは保証出来るものの、やんちゃな男の子や、きつい感じの保護者に対応出来るのかと、アンも内心では心配していました。

けれど、付き合っていた相手のことを頼りないと思えるほど強くなったのだと思いますし、沢山のつらいこと、苦しいこと、悔しいことを経験しながら、負けなかったからだと思います。

K子ちゃんが生徒だった頃は、あまり意見を持たない生徒だったので、アンが一方的に話していましたが、今ではKちゃんの話を聞くほうが多くなっています。
一人ひとりの生徒や保護者と真摯に向き合っているKちゃんの話は共感出来きますし、時間を忘れるほど楽しく、また、教えられることも多々あります。

Kちゃんはまだアンを先生と思ってくれているようですが、アンにとっては年の離れた友達、話し相手という感じです。



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家庭塾卒業後の生徒たち(1) [生徒]

不登校の生徒たちにとっては、安心して過ごせる夏休みも終わり、2学期が始まって2週間余り経ちました。
夏休み明けからは学校に行こうと決心し、何とか通えている生徒もいれば、やはりだめだったという生徒もいるかと想像しています。
どちらがいいか、悪いかの問題ではなく、「今それを選んでいる自分」を認めることが大切だと思います。

この夏休み中に、家庭塾を卒業した3人の生徒が訪ねて来てくれて、それぞれの生徒の成長を目の当たりにしました。

1人目は、中学1年の夏休み明けから不登校になり、中学3年の秋から大学受験まで家庭塾に通って来ていたR子ちゃん(「2012年、チャレンジ高校受験を振り返って(3)」、「チャレンジ高校受験から大学合格まで」で紹介)です。

大学に入ってからは初めて会ったのですが、意志が感じられるしっかりした顔つきになっていて、初めて家庭塾に来た時の、生気がなく、おどおどした感じはなくなっていました。

チャレンジ高校では午後の部に通っていたので、授業も午後1時から午後4時半位までと時間も短かったのですが、大学では部活にも入ったので、午前8時位に家を出て、帰宅が8時位になる日もあるといいます。
R子ちゃんにそこまでのエネルギーがあるとは思っていなかったので、感心するしかありませんでした。
勉強もレポートの提出や試験など、高校とは比べものにならないほど大変で、運動系の部活では怒られてばかりとのことでした。自分が一番怒られているとも言っていました。

これまでのチャレンジ高校も、そしてR子ちゃんのご家庭も温室だったと思うので、R子ちゃんにとってはハードルの高い大学生活になっていると思いますが、乗り越えられると思いました。

このようなハードな生活の中で、長期間飲んでいた薬を飲まなくてすむようになったことも、大きな進歩だと思います。
アンはかねてから、R子ちゃんの薬には反対の立場を取っていたのですが、この日、R子ちゃんとお母さんが真っ先に薬の中止を報告してくれました。

また、チャレンジ高校を受験する際に、「受かるとは思うけど、今のままのR子ちゃんだったら、受かっても通えないと思うから、お母さんと一緒に来るのではなく、家庭塾にも1人で来られるようにしましょう」とアンが言った言葉が、R子ちゃんが前に進むきっかけになったと、お母さんが言ってくださいました。

R子ちゃんに、「いつ頃から、小学校や中学時代のいじめのトラウマが薄れてきた?」と尋ねると、「高校3年の時はまだだったけど、4年生になってから大丈夫になってきた」とのことでした。
アンは、R子ちゃんの通っていたチャレンジ高校の文化祭に4年連続で出かけていたのですが、それまでの3回とは異なり、4年目は顔の硬直もなくなり、客にもきちんと対応出来ていて、アンにも笑顔を見せる余裕も出てきていました。
その変化には、ご両親も気づいたようです。

不登校から立ち直るには、不登校だった期間と同じくらい年月がかかると言われていますが、R子ちゃんもそのケースで、チャレンジ高校に入学したからといって一気に解決するものではないように思います。

R子ちゃんの今があるのは、高校に通う過程で、体調が悪くなるほど悩んだり、苦しんだり、または不安にかられたりしながら、その都度、弱い自分と向き合い、小さな挑戦と努力を積み重ねてきたからに違いありません。

R子ちゃんは望んでいないと思いますが、大学の部活ではもっともっと怒られたり、失敗する経験を重ねてほしいと思っています。
いまはまだつらいと思いますが、そのうち慣れてくると思いますし、完璧な自分より、だめな自分も認められるようになることが、将来、社会で生きていくための力にもなると思うからです。



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高校卒業 [生徒]

この3月、高校受験の時に関わった生徒の6人が高校を卒業しました。
都立チャレンジ高校が5人(3年卒2人、4年卒3人)、通信制サポート高校が1人です。

チャレンジ高校の生徒のうち2人については、高校受験からこれまでずっとアンのところに通って来ていたので、アンにも感慨深いものがあります。節目、節目でその時々の悩みやつらい気持ちをアンに話しながら、最終的には進路指導にも関わることになって、Aちゃんは公募推薦で中堅の私大へ、B君は厳しいことで知られている調理の専門学校にAO入試で合格しました。
2人にとって高校卒業までの道のりは楽なものではなかったと思いますが、よく頑張ったと思います。
この先もまだまだ道は続くわけですが、泣いたり、転んだりしながら何とかやってきたこれまでの経験を活かして、少しずつでも前に進んでいってほしいと思っています。

C君は、中学1年から高校受験までアンが家庭教師をした生徒で、住まいが東京都ではなかったためチャレンジ高校に進学する資格がなかったこともありますが、指導当初から通信制サポート高校を勧めた唯一の生徒でした。一緒にC君を指導していた家庭教師の先生や、同居しているC君の祖父母からは、それでは家庭教師をつける意味がないと文句を言われましたが、アンにはC君にはその通信制高校が一番合っていると思えたのです。
C君は不登校ではなく学力不振でしたが、アンがこれまで関わってきた生徒の中でも最も深刻な学力不振だったために、仮にC君を受け入れてくれる私立高校が見つかったとしても、勉強についていけずに、卒業出来ないことが目に見えていたからです
先日、C君のお母さんから卒業を報告するメールをいただきましたが、アンから勧められた高校に進学して本当に良かったと書いてありました。C君はその高校で楽しく有意義な3年間を過ごしたということです。勉強だけで判断するのではなく、C君の性格の良さや、よい面を伸ばしてくれる学校だったのだと思います。

C君は推薦入試で大学に合格し、4月からは大学生になります。
C君のお母さんからは大学受験の指導も頼まれたのですが、誰でも合格出来そうな大学に入学することに対して、アンが懐疑的だったためにお断りしました。
勉強に拒否反応を持っていたり、向かない生徒が大学に進学しても得るところがないというのがアンの正直な意見です。
けれど、人は環境によって変わるし、成長もしていくものなので、4年後にC君が大学に行って本当に良かったと思えるようになることが、アンの心からの願いでもあります。

D君はチャレンジ高校の受験の時に指導した生徒です。一般入試で大学に合格したことは人づてに聞きました。入学した大学については何とも言えませんが、C君についても、D君についても、どこの大学に入学したかというより、4年間でどういう力をつけるかの方がはるかに大事だということを忘れないでほしいです。

E君と、F君はチャレンジ高校の生徒でしたが、2人が受験した年度は生徒が多かったために、アンが指導したのは1,2回で、別の先生にお願いした生徒でした。
それだけに、高校在学中は交流もなかったのですが、先日、2人の就職が決まり、4月から社会人になるということをご父兄から聞きました。
堅実な選択だと思い、さわやかな気持ちになりました。
詳しいことはわからないのですが、もしかしたら、E君もF君も大学に進学したい気持ちもあったかもしれません。
仮にそうだとしても、勉強は本人がやりたいと思ってからでも遅くないので、その時に考えればいいことだと思います。


高校を卒業した6人が、失敗や挫折を繰り返しながら、それぞれの進路で成長していってほしいと思っています。


追記;今日3月23日、上記に書いたC君から卒業式の写真と、卒業文集が届きました。2年振りに見るC君は背もかなり伸び、スーツ姿も絵になる立派な若者になっていました。卒業文集にも、高校がC君の個性を伸ばしてくれる学校であったこと、わかり易い授業によって学習意欲が湧き、中学の時とは比べものにならないほど、楽しいい高校生活を送れたことなどが、説得力のある見事な文章で書かれていました。 このような文章が書けるようになったC君なら、大学でも何かをつかんでくれるのではないかと期待できます。 C君についての上記の文章は撤回したほうがいいかもしれません。 生徒は止まっているのではなく、成長していくのだということをまざまざと見せつけられたような気がします。 一気に明るい光が差し込んでくるような、幸せな気持ちになりました。


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