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先生は味方ですよね [生徒]

もう15年以上、関わっている生徒がいます。
始まりは、彼女が30歳頃だったと記憶しています。
勉強を見るのではなく、悩みの相談です。
もう十分に大人なので、生徒という言葉は合わないと思うのですが、彼女自身、生徒だと思っているので、そのつもりで付き合っています。

中学時代に不登校になり、出会った頃は引きこもりでした。
現在は父親と一緒に住んでいて、週に何日かバイトをして、小遣いや被服費、通信費などは賄えています。

この15年以上、彼女はいつも同じ話をしています。
家庭塾に来るのは、年に数回ですが、少なくても1か月に1回、多い時だと1週間に1度の割で、手紙が届きます。
「中学の時、なぜみんなは私のことを無視したのか」「親はなぜ、東京から千葉まで引っ越して、強制的に私を転校させたのか」、そのことは中学卒業以来30年経ってもなお、彼女には納得できないことです。

彼女はずっと変わらない願いを持ち続けています。
それは、中学の時に、自分にやさしく接してくれた友だちと、会って、話をすることです。
その友人達には何通も手紙を出したり、誕生日にプレゼントを贈ることを続けていると言っています。
同窓会もあるらしいのに、彼女にはいつも連絡がこないそうです。

過去にばかりこだわらないで、前に進むことを考えてほしいと思うのですが、それは無理のようです。
本人が思っていることは、簡単には変えられません。


高校は通信制の高校を6年かけて卒業しています。
その6年間のノートは取ってあって、それを読んだだけで彼女が頑張った様子が伝わってきました。

ここ何年かは、自分の外見も意識するようになって、お化粧をしたり、身ぎれいにしています。
私と出会った頃は、「東京で事務の仕事がしたい」と言っていましたが、今はそれは叶わないと思ったようで、あちこち面接を受けながら、自分に出来る仕事をしているようです。
彼女は行動力もあり、他にもいいところがあるのに、私がそこを認めても、そこはいつも流されてしまいます。
お世辞でなく、本当のことを言っているのに、自分の長所は見ようとしません。
今は自己肯定感は低いというわけでもないと思います。
悩みながら、模索し続けて、いろいろ経験していることが力になっている気がします。

彼女の手紙にも書いてあり、家庭塾に来ても、彼女が必ず言う言葉があります。
「先生は私の味方ですよね」、「ずっと私の味方でいてください」

私はいつも彼女の考えや、思考のくせをただ黙って聞いているだけではなく、反対意見も言っています。
ただ、彼女がずっと私と付き合ってきたのは、彼女をまともに相手にしない人が多い中で、つねに私は誠実に真っ直ぐに彼女に向き合っているからかもしれないと思っています。

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