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家庭塾卒業後の生徒たち(1) [生徒]

不登校の生徒たちにとっては、安心して過ごせる夏休みも終わり、2学期が始まって2週間余り経ちました。
夏休み明けからは学校に行こうと決心し、何とか通えている生徒もいれば、やはりだめだったという生徒もいるかと想像しています。
どちらがいいか、悪いかの問題ではなく、「今それを選んでいる自分」を認めることが大切だと思います。

この夏休み中に、家庭塾を卒業した3人の生徒が訪ねて来てくれて、それぞれの生徒の成長を目の当たりにしました。

1人目は、中学1年の夏休み明けから不登校になり、中学3年の秋から大学受験まで家庭塾に通って来ていたR子ちゃん(「2012年、チャレンジ高校受験を振り返って(3)」、「チャレンジ高校受験から大学合格まで」で紹介)です。

大学に入ってからは初めて会ったのですが、意志が感じられるしっかりした顔つきになっていて、初めて家庭塾に来た時の、生気がなく、おどおどした感じはなくなっていました。

チャレンジ高校では午後の部に通っていたので、授業も午後1時から午後4時半位までと時間も短かったのですが、大学では部活にも入ったので、午前8時位に家を出て、帰宅が8時位になる日もあるといいます。
R子ちゃんにそこまでのエネルギーがあるとは思っていなかったので、感心するしかありませんでした。
勉強もレポートの提出や試験など、高校とは比べものにならないほど大変で、運動系の部活では怒られてばかりとのことでした。自分が一番怒られているとも言っていました。

これまでのチャレンジ高校も、そしてR子ちゃんのご家庭も温室だったと思うので、R子ちゃんにとってはハードルの高い大学生活になっていると思いますが、乗り越えられると思いました。

このようなハードな生活の中で、長期間飲んでいた薬を飲まなくてすむようになったことも、大きな進歩だと思います。
アンはかねてから、R子ちゃんの薬には反対の立場を取っていたのですが、この日、R子ちゃんとお母さんが真っ先に薬の中止を報告してくれました。

また、チャレンジ高校を受験する際に、「受かるとは思うけど、今のままのR子ちゃんだったら、受かっても通えないと思うから、お母さんと一緒に来るのではなく、家庭塾にも1人で来られるようにしましょう」とアンが言った言葉が、R子ちゃんが前に進むきっかけになったと、お母さんが言ってくださいました。

R子ちゃんに、「いつ頃から、小学校や中学時代のいじめのトラウマが薄れてきた?」と尋ねると、「高校3年の時はまだだったけど、4年生になってから大丈夫になってきた」とのことでした。
アンは、R子ちゃんの通っていたチャレンジ高校の文化祭に4年連続で出かけていたのですが、それまでの3回とは異なり、4年目は顔の硬直もなくなり、客にもきちんと対応出来ていて、アンにも笑顔を見せる余裕も出てきていました。
その変化には、ご両親も気づいたようです。

不登校から立ち直るには、不登校だった期間と同じくらい年月がかかると言われていますが、R子ちゃんもそのケースで、チャレンジ高校に入学したからといって一気に解決するものではないように思います。

R子ちゃんの今があるのは、高校に通う過程で、体調が悪くなるほど悩んだり、苦しんだり、または不安にかられたりしながら、その都度、弱い自分と向き合い、小さな挑戦と努力を積み重ねてきたからに違いありません。

R子ちゃんは望んでいないと思いますが、大学の部活ではもっともっと怒られたり、失敗する経験を重ねてほしいと思っています。
いまはまだつらいと思いますが、そのうち慣れてくると思いますし、完璧な自分より、だめな自分も認められるようになることが、将来、社会で生きていくための力にもなると思うからです。



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