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不登校、学力不振の学校訪問(2)さくら国際高校 [受験・進路]

さくら国際高校
東京都渋谷区代々木1-43-8
TEL.03(3370)0718
ホームページ http://www.tokyo.sakura-kokusai.ed.jp/

学校訪問の2番目にさくら国際高校を選んだのは、特に理由はありませんが、中学の先生から名前が挙がる高校であったこと、家庭塾からは大江戸線で20分程度で行けるアクセスのよい学校だったからです。

さくら国際高校東京校は通信制サポート高校で、JR「代々木駅」西口から徒歩3分の距離にあります。
都心にあるためか、外観は学校というよりビルといった感じで、建物の廊下なども狭く、普通に思い描く高校のイメージとは趣を異にしていました。けれど、教室はやや小さいと感じられるものの机と椅子が並べられていて、クラス単位で授業が行われている様子が見てとれました。アンが訪問した日は、卒業式が午前中に終わったばかりで、生徒の姿がちらほら見られる程度でしたが、空き教室では先生と生徒が個別面談をしている姿があったり、廊下ですれ違う生徒がそれぞれにアンに挨拶してくるのを見て、礼儀を重んじる学校なのだと感じました。

同校の沿革としては、2015年より長野県上田市にあるさくら国際高校の東京校になったとのことで、わざわざ本校のある上田市までスクーリングに通わなくても、単位認定が自校で出来るようになったといいます。

通信制サポート高校としては珍しい週5日の授業で、9時半始業、担任制で、好きなことや進路に合わせてコースを選び、自分のペースで学びながら3年で卒業します。
自分のペースで学んでいくというのは、たとえば生徒の心身の具合によって、朝から登校出来なかったり、欠席する日が多くても、生徒が学校に姿を見せた時に、先生方が個別にレポート指導をしてくれたり、レポートがたまり過ぎてしまった場合でも、先生方がサポートしてくれる体制が確立されているのだと思いました。また、同校は「教育コーチング認定校」になっていて、先生方は全員コーチングの勉強をしているそうです。

校庭はありませんが、部活動は盛んで、運動系は近くに場所を借りてやっているとのことで、部活動の実績や活動報告が写真とともに廊下に数多く張り出されていました。
文科系ではダンス部が特に活発なようで、アンが訪問した日も、卒業公演をかねたラストライブの練習をするために部室に生徒がいて、ひとり一人自己紹介しながら挨拶された時には、アンの方が恐縮してしまうほどでした。

コースは4つあり、進学コース、マンガ・アニメコース、声優・タレントコース、ペット・アニマルコースです。生徒はそれぞれ自分に適したコースを選びますが、進学コースだけが進学に有利というわけではなく、例えば声優・タレントコースを選んだ生徒は、表現力が身につくので、大学のAO入試の面接では高得点が期待できるとのことでした。

パンフレットの、学園長メッセージに書かれている内容は、アンが共感できるものばかりでした。「不登校は特別のことではない」「問題なのは生徒不在の教育」「行かなくてもいいという安心」「小さな成功体験を自信につなげる」「学校は個性と個性が出会う場所」などタイトルを拾ってみただけでも、不登校や学力不振の生徒に寄り添って、経験を重ねたからこそ書ける言葉だと感じました。


入学試験推薦入試書類審査と、面接(生徒・保護者)、一般入試書類審査と、3教科(英語・数学・国語)合わせて30分の小テスト、面接(生徒・保護者)です。
推薦入試、一般入試ともに試験日は1回目の12月からから6回目の3月中旬以降まであり、面談していただいた先生によると学力試験の結果で不合格になることはないとのことでした。ただし、校則を守れないような生徒はお断りだそうです。
4月の時点では、1クラス25名程度でスタートし、途中から転入学(別の高校から転校してくる生徒)や編入学(高校を退学した生徒)の生徒も入ってくるので、卒業時までには40名程度に増えるそうです。

授業料は通信制高校とサポート校が合体した形になっているので、以前よりは30万円から40万円程度安くなったそうですが、一番費用のかからない進学コースでも初年度の納付金は100万円以上、その他に修学旅行等の積立金が毎月2万円弱必要になります。
高等学校就学支援金についても説明があり、学校を通して申請を行い、ご家庭の収入に応じて、年額で最高297,000円の助成が受けられると書いてありました。


アンの感想
(あくまでもアンの意見なので、偏った部分もあるかと思います。興味を持たれた生徒や保護者の方は、直接に学校に出向いて話を聞き、自分で確認してみてください。)


広報部・入学相談室長の奥谷先生とは2時間ほど面談していただきました。
先生に話していただいた中で、一番印象に残っているのは、先生が「この学校の生徒達はみんないい子たちです」とおっしゃっていたことです。アンも家庭塾に来る生徒たちはみなやさしくて、性格のいい子たちばかりと思っているので、奥谷先生も同じ視点で生徒のことを見ているのだということが伝わってきて、共感出来ました。

アンのブログでは、不登校、学力不振の高校選び(東京、埼玉、神奈川、栃木)で紹介した通信制サポート高校の日々輝学園高校の記事が一番アクセス数が多くて、実際にアンの生徒も2人ほどこの学校を卒業しているのですが、中学の時とは別人のように自信がついて、日々輝学園に進学して本当に良かったと言っているのですが、さくら国際高校と日々輝学園は雰囲気が似ているように思いました。
アットホームな小規模のキャンパスで、不登校や学力不振の生徒を排除するのではなく、生徒ひとり一人が自分らしく輝くために、先生方も日々、努力を惜しまないという感じが伝わってきました。
また、アンも実際にお会いしたのですが、先生方の中にこの学校の卒業生がいることも、ステキなことだと思いました。

さくら国際高校に向いている生徒は、人間関係で傷つき、人が信用出来なくなって学校に行けなくなってしまった生徒、勉強が苦手で、誰かがついていてくれれば出来るけれど、一人では勉強する気になれない生徒、自分にはいいところなどないと思っている生徒、コミュニケーション能力や表現力が弱いと思っている生徒等には合っていると思います。

勉強については、3冊を1年かけてやる子もいれば、3冊を1か月でこなしてしまう生徒もいるといったように、他人と比較せずに自分のペースで学習を進めていけばいいそうです。
アンが考える通信制サポート高校の良い点は、レポートの課題をこなすことで授業が進んでいくので、勉強が苦手な生徒でも、自分が今何を学んでいて、どのようにその課題を解かなければないかを考えるようになることだと思います。それは強制的にやらされる勉強とは違うような気がします。

アンはさくら国際高校で説明を聞くまでは、通信制サポート高校の声優やアニメ、ペット、マンガなどのコースは、高校としてはふさわしくない、高校卒業後に学ぶべきものと思っていたのですが、それは偏見だったと反省しました。
自分の好きなことを勉強して、それでいい成績が取れれば自信もつくし、その自信が他のものにも挑戦してみようという意欲にもつながっていくと思ったからです。


授業料は確かに高額だと思いますが、高校の授業についていけずに塾に通ったり、家庭教師を頼んで勉強しなければならないことを考えれば、学校内でそれが解決できるわけですから、その分の費用は浮くという考え方も可能かもしれません。


なお、大学進学については、一般入試が2割程度、残りは指定校推薦とAO入試ということでした。資料の中に同封されていた27年度合格実績の用紙には著名な大学も含まれていましたが、学校だけの勉強でなく、個別に予備校や進学塾に通っていた生徒ではないかと想像しました。
都立チャレンジ高校と同様、ある程度以上の大学に合格するためには、学校の勉強だけでは不十分だと思うからです。

なお、さくら国際高校に向かない生徒としては、経済的な問題が一番かと思いますが、やる気や能力があると自負している生徒、集団授業についていける生徒は避けたほうがいいように思います。また、厳しい環境に身を置く方が好きな生徒にも向かないと思います。


後日の話になりますが、奥谷先生のお誘いを受けて、国立オリンピックセンターの小ホールで開催されたダンス部の卒業公演を見てきました。
「人魚姫」のミュージカルから始まり、3時間余りの公演でしたが、生徒たちが持てる力を十分に発揮した熱気のある舞台で、飽きることなく見入ってしまいました。
構成や演出もメリハリがあり、生徒ひとり一人が何曲も踊り、その度ごとに衣装も変えて出てくるので新鮮でした。これだけの演目を覚えるのに、見えないところでどれだけの練習を重ねてきたのだろうと思うと、感動すら覚えました。
特に、印象に残ったのは、ダンスの上手な優秀な生徒にだけ光を当てているのではなく、裏方も含めた全員に出番が与えられ、それぞれの持ち場で生徒たちが精一杯やっているということでした。

勉強に限らず、何でもいいから、自分が好きなこと、夢中になれるものを見つけて、最初は上手くいかなくても、あきらめずにやり続けて、小さな目標でも達成出来れば、人は輝ける、未来を拓いていくことが出来ると、生徒たちを見ていて、改めて確信しました。


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