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不登校、学力不振の学校訪問(1) NHK学園高等学校 [受験・進路]

不登校だったり、学校の成績がオール3以下だったりすると、東京では、都立高校、または私立高校を受験することさえ難しくなっているのが、現在の高校進学事情ではないかと思います。
10数年以上前、アンが科目指導の家庭教師を始めた頃は、指導に苦慮するような深刻な学力不振の生徒でも、単願推薦でなら受け入れてくれる面倒見のよい私立学校が数は多くはありませんでしたが存在していました。
ところが、そういう学校も、5年ほど前から大学進学で実績を上げる高校へと方針を変え、勉強が極端に苦手な生徒が単願で合格出来たとしても、勉強面での苦労は中学の時よりさらに増し、家庭教師に勉強を見てもらわなければ成績が取れなかったり、卒業に至らないケースも出てくるようになってしまいました。

一般の都立高校、私立高校が不登校や学力不振の生徒にハードルが高くなっている一方で、それらの生徒を受け入れる通信制高校や通信制サポート高校は増加傾向にあり、中学校の先生方も進学先の一つとしてアドバイスするようになっています。
しかし、通信制高校はともかくとして、通信制サポート高校は授業料が割高になるので(通信制高校+サポート校の授業料が必要になるため)、家庭の経済を考えると、躊躇せざるを得ないというのも一般のサラリーマン家庭の本音ではないかと想像しています。

このような状況の中で、都立チャレンジ高校以外に、不登校や学力不振の生徒の進学先としてどのような高校があるのか、アン自身も情報を集めてみたいと思い、この3月から学校訪問をすることにしました。

これから少しずつ、ブログにアップしていこうと思っています。
まずは、NHK学園高校からスタートすることにしました。


NHK学園高校(東京本校)

NHK学園高校については、以前の記事、私立通信制高校の合同説明会ですでにご紹介してありますが、今回は、アンが直接に出かけて行って担当の先生から説明していただいたこと、2015年から東京校(東京都国立市)に登校コースが出来たので、それを中心に書いていきます。


NHK学園高校のある国立市は一橋大学や国立音楽大学などがある文教都市として知られており、JR国立駅から南に真っ直ぐに伸びる大学通りは春には桜、秋にはいちょうで美しく彩られることで有名ですが、アンが学校訪問した時はちょうど桜が満開の時期で、どこまでも続く桜並木を堪能しました。

外側から見た学校の様子、また案内していただいた校舎内の施設や設備、学校の雰囲気も一般高校と何ら変わりはありませんでした。

登校コースの内容登校日は水曜、木曜、金曜の週3日で、朝10時からのホームルームから始まり、10時半から授業(スクーリング)、2時40分からは5時までは、みんなで助け合って学習を進めたり、わからない点を先生に質問するステップアップタイムと呼ばれる時間割になっています。

NHK学園高校に限らず通信制高校はレポート提出が基本ですが、NHK学園高校の登校コースの特徴は、学びのスタイルが「反転学習」、「反転授業」になっていることです。
つまり、最初は自宅やNHK学園高校で「NHK高校講座」の番組を一人で視聴し、その上で学校に登校してサポートスクーリング(翌日のメインスクーリングの授業内容についての基礎項目を確認する)を受け、次の日にメインスクーリングを受けるというスタイルです。この方法だと、一つの単元を3回、学習することになるので、学習内容が定着するので、それが「反転学習」、「反転授業」になるということです。

放送授業は1科目について20分間で、ここ2~3年は、授業に興味を持ってもらうためにタレントの起用も多くなっているそうです。放送は1回限りですが、全教科パソコンやスマホで何度も見直したり、聞き直したりすることが出来ます。
卒業後の進路についても、1年の時から、「好きなこと」や「やりたいこと」を探し始め、卒業時までにそれを明確にするといった、細やかな進路指導がなされているようです。

なお、NHK学園高校は様々な年齢層が学べる学校として歴史のある学校ですが、登校コースに限っていえば15年度入学者は中学を卒業したばかりの10代の生徒だけとのことでした。

登校コースの入学試験推薦入試書類選考と作文、面接、一般入試書類選考と基礎学力測定(国語、数学、英語)、作文、面接です。
選抜日は推薦が1月後半、募集人員は男女 合計20名、一般が選抜日が2月中旬、募集人員は男女合計20名で、一般入試は第2回、第3回にも若干名の募集があり、3月下旬まで応募可能です。

部活については、運動系、文化系、同好会などさまざまな種類があり、校庭も広いので、部活にも入って楽しい高校生活を送りたいと思っている生徒には合っていると思います。


登校コースの場合の年間授業料は年間で60万円程度ですが、高等学校等の授業料支援として、所得に応じて「就学支援金」が支給されるので、世帯収入が910万円以下の家庭であれば、最低でも年間12万程度授業料は安くなるかと思います。


アンの感想

これまで不登校や学力不振だったけれど、出来れば普通の高校に行き楽しい高校生活を送りたいと思っている生徒、人間関係は苦手だけれど、今の自分をなりたい自分に変えていきたいと思う気持ちのある生徒、勉強は苦手だけれど出来るようにはなりたいと思っているので、そのための努力を少しずつでもしていこうと思っている生徒、授業料が一般の私立と変わらない学校が望ましいと思われるご家庭の生徒にはオススメの学校だと思います。
ただし、週に3回登校して、提出するレポートの指導が受けられるとはいえ、勉強に拒否反応を示すほど勉強嫌いの生徒や、楽をして高校の卒業資格さえ取れればいいと思っている生徒には勧められません。加えて、通学時間が1時間半以上かかる場合、体調不良の生徒も避けた方が無難かもしれません。


アンが訪問した際には、実際に使用している教科書やガイドブック、レポート課題なども見せていただきました。レポートそのものがテスト形式になっていて、それは教科書を見て解いてもいいものだし、わからない箇所は週3日の登校の際に先生に質問も出来るので難しくはないと思いました。また、レポートも点数がついて返却されるのではなく、AとかBの評価がつくだけなので気持ち的には楽だと思いました。

面談していただいた先生に、推薦入試についての学校の成績についての基準についてお尋ねしましたが、学校の成績がいい生徒が必ずしも優秀とは限らず、学校の成績だけで測れない面も多々あるので、成績が良くないという理由だけでは不合格にはしないとのことでした。面接で生徒の趣味し好や考え方、やる気を見るそうです。

面談していただいた先生は温かい感じの先生でした。この日、アンは車で行ったのですが、余裕をもって出たにもかかわらずに、道路が混んでいて、約束の時間に到着出来そうもなく、途中で電話をしたのですが、「気にしないで、慌てずにいらしてください。お待ちしていますから」と言ってくださり、電話に出られた先生が面談してくださる先生だと知って、さらにほっとしました。


「未来に向かって」という卒業生からのメッセージを集めた小冊子をいただいて帰ってきたのですが、学校になじめずに小学校1年の時から不登校だった生徒が、NHK学園高校を選んだ決め手は入学前の先生との面談だったと書いてありました。その先生が自分の知っている先生、イメージしていた先生とは違う印象で、「学校の先生」というより「人」という感じがしたということでしたが、アンが面談していた企画開発部長の野村先生にも同じものを感じました。一言でいうなら、人間的な温かさだと思います。


NHK学園高校の通学コースは、都立チャレンジ高校よりも試験を受けて合格するのは難しくない気がしましたが、先生方の力を借りながら、受け身ではなく自分で勉強しなければならない点では大変かと思いました。それが時間をかけてで出来るようになれば、人としても、学力面でも、むしろチャレンジ高校より力はつくことが予想されます。
また、カリキュラムもしっかりしているので、やる気のある生徒や、大学進学を目指す生徒には向いていると思いました。

それ以上に、アンが、NHK学園高校を学校訪問の最初の学校に選んだのは、この学校で、自分なりに能動的に学習し生活していくことが(たとえ、登校日以外の日を好きなゲームで1日費やしたとしても、やるべきことをきちんとやっていればの話ですが)、未来に向かっての大きな力になると確信しているからです。
これまでも、そしてこれからも、アンが家庭塾に通って来る生徒に望むこともただ一つ、能動的であること――やる前から無理だと言ってあきらめたり、面倒くさがったりしないで、目の前のやるべきことをていねいにきちんとやっていく姿勢です。

アンもそのために力を尽くしたいと思っていますが、ここで都立チャレンジ高校の受験について触れさせていただくなら、合格するためには声の大きさにも表れる生徒本人のやる気、能力、面接の際の面接官との相性など、最終的には生徒に帰する部分が大きいかと思っています。
お母さんや、お父さん、アンがいくら一生懸命になっても、試験を受けるのは生徒本人、勉強するのも本人であることを出来るだけ早い時期から自覚することが必要です。