SSブログ

深刻な学力不振の指導法とその限界 [学力不振]

一口に学力不振といっても数学だけ極端に点数が悪いとか、英語は全くちんぷんかんぷんで訳が分からないといったものから、全科目出来なくて5教科の合計点が100点にも満たない、さらには学力不振の背後に軽度発達障害がある、などさまざまなタイプがあると思います。
いずれのタイプに属するにしても、考える力、質問する力、意識する脳を持っている生徒は、深刻な学力不振とは考えなくてもいいのではないかと思っています。単に暗記する力や記憶する力が弱いだけのことだと思うからです。
ところが、今の学校教育では、以前よりは考える力をつけたり、記述の問題が増えているとはいえ、やはり知識偏重で暗記が強い生徒がテストで好成績を収めることになります。この結果、テストで点が取れない生徒は、だめな生徒として担任やその他の先生から見られるようになり、この傾向は中学で顕著になり、学年が進むほどその度合いを増していくのが一般的な傾向です。

アンの塾に来る生徒はやさしくて、性格のいい子が多いのですが、その部分は学校では認めてもらえません。(稀なケースとして、それを認めてくれる先生もいますが、それはそれでちょっと問題です)
学力不振ではあるけれど、性格はいい生徒が心ない先生の言葉によって傷つけられ、自己を否定するようになって、やる気まで失くしていくのを、これまでに何人も見ています。最悪のパターンは、学校で先生に馬鹿にされ(先生が馬鹿にすると、生徒もその子を馬鹿にするようになります)、家に帰っても怒られてばかりの生徒です。
このように否定され続けていると、勉強はさらに出来なくなります。
もともと勉強が苦手なのに、それを非難されてばかりではやる気など湧いてくるはずがないからです。

ではどうするかですが、ここでは5科目のテストの合計が100点未満の生徒に限って述べてみたいと思います。
アン独自の考え方になるかもしれませんが、学校のカリキュラムに合わせないで「ゆっくりと、丁寧に繰り返し繰り返しやること」しかないと考えています。
5教科なら5教科を万遍なくやるのではなく、1教科でもいいから少しずつやって、確実に出来ることや理解したことを積み重ねていくことだと思います。
この方法はアンが考え出したものではなく、生徒が教えてくれたことです。
この指導方法の基本は暗記ではなく、生徒に考えてもらうこと、理解してもらうこと、また押しつけられての勉強ではなく、自発的に勉強する気になってもらうことです。さらに欲張っていうと、自分が今、何の勉強をしているのか、何がわかっていて、何がわからないのかを自覚してもらうことも大切です。

難点は時間がかかることです。短期間で学力の向上は望めません。1年以上は確実にかかります。けれど、5科目の合計が100点に満たない生徒の場合はカリキュラムに合わせて、万遍なくやっていたのでは身につくものは結局は何もないというのが、アンが辿り着いた結論です。

この方法でやっていくと、一けた台であった生徒の点数が40点から50点近くまでは取れるようになっていきます。
それ以上の点数は、もう指導する側の問題ではなくて、生徒の側の問題になってきます。
それがつまり、教える側の限界ということになります。
限界の第一はやる気の欠如の問題(面倒くさがりで、宿題を出しても効果がありません)ですが、その他に精神年齢の問題、意識しない脳の問題があると思っています。
知的能力と精神年齢の相関関係はわかりませんが、精神年齢が幼いほど忘れやすいと思いますし、長時間、机に向かっていても意識しない脳(脳が眠っている状態)では勉強していても頭に入っていきません。
逆に、見せかけのやる気ではなく本物のやる気さえあれば、背後に発達障害が隠れているにしても、かなりのことがクリア出来ると思っています。

チャレンジ高校を受験する生徒は不登校と学力不振の生徒が大部分ですが、受験に必要な作文と面接いうことに限ってみれば不登校の生徒の指導の方がスムースに進みます。
やる気(精神面で問題があってエネルギーが減退していることはありますが、もともとはやる気のある生徒が多いです)はあるし、精神年齢も幼すぎるということはないし、意識する脳も持っているからです。

アンが悩むのは、学力不振の指導の限界を感じた時です。アンを悩ませる生徒を指導する場合は、かなりの忍耐力も求められます。(アンの場合は、一般の先生が怒るレベルでは腹も立たないと思ってはいるのですが…)
けれど、悩んだからといって解決できる問題ではないので、生徒が自ら成長して気づいてくれるのを気長に待って、今やるべきこと、目の前の一つ一つをやっていくしかないと、悩む度ごとに思い直すようにしています。



共通テーマ:学校