SSブログ

「先取り不安」と「自分が悪い」からの卒業 [不登校、ひきこもりのあなたへ]

自分が弱い立場にいたり、深く傷ついていたりすると、何かをやろうと思っても、「うまくいかなかったらどうしよう」と、やる前から不安なことばかりを並べ立てて、自分の行動にブレーキをかけてしまいがちです。
また、他人と接する時にも、相手が自分に対して冷たい態度をとったり、無関心であったりすると、「自分は嫌われている」と思ったり、「私が悪いのだから、仕方がない」と、全てを自分のせいにして、心を閉ざしてしまうこともあると思います。

もし、あなたにこういう気持ちがあるとしたら、その発想を少しずつ変えていってほしいと思います。

実は、84歳になる私の母が、いつもこういう発想をするのです。
3年前までは、私に似て(?)前向きで元気な人だったのですが、その後、家庭環境が変わって、年齢とともに自分の体が自分の思うように動かなくなったときに、うつ病になってしまい、人が変わったようになってしまったのです。

弟一家と一緒に住んでいるのですが、私も週に1度は、母の介護に通っています。
ここ半年ばかりは、パキシルという薬が効いているのか、うつ病の症状もほとんど見られなくなって、表情も柔らかくなってきました。
けれど、「先取り不安」と「自分が悪い」という発想からは抜け出せずにいます。

最も大きい「先取り不安」は、私が行かないと、自分は飢え死にしてしまう、と本気で思っていることです。確かに、1週間分の昼食については、私が料理したものや生活クラブ生協の冷凍食品を持って行くし、買い物も私がしていますが、だからと言って、食べるものがなくなるなどということは、決してないのです。
2階の弟夫婦に頼めばすむこととなのですから。

ところが、母にとっては、これが大変なのです。
弟夫婦は忙しいので、母の様子を気遣ったり、やさしい言葉をかけたりすることができないのですが、母は自分が嫌われているからだと思い込んでいます。体も心も元気でなくなってしまった自分は、家族のお荷物で、自分はいないほうがいい存在だと思っています。だから、頼みたくても頼めないのです。
お嫁さんが、不機嫌そうな顔をしていると、「全て私が悪いから」と思ってしまいます。
お嫁さんだって、体調が悪いときもあるし、疲れていることもあるのだ、という想像力は働きません。
母の家に行くときは、私は丸1日、母と付き合いますが、文句や不平ばかり言われても、笑顔でやさしく接することが出来ます。週に1日だからです。それが母には理解できません。一緒に住んでいる家族にもそれを期待してしまうから、かなえられないと、つらくなるのだと思います。

明日は、母の介護に行く日ですが、母の頭は台風のことでいっぱいです。台風が来たら、私が行かれなくなると思っているのです。
電車が動いていなければ無理でしょうが、母のことは大切に思っているので、私が行かないということはありえません。

話は変わりますが、2学期が始まってしまいましたね。夏休み中は、友だちも学校に行かないので、気持ちが楽だったかもしれませんが、今は置いてきぼりにされたようで、あなたは暗い気持ちになっているのではありませんか。
休みの間は、「2学期からは学校に行ってみようかな」と、ふと考えたりした人もいたのではないでしょうか。
けれど、「今まで休んでいたのに、どんな顔をして行けばいいのだろう」「友だちに無視されたらどうしよう」「また、傷つけられたらイヤだな」「誰からも話しかけられないで、1日、教室にいられるだろうか」「先生はあたたかく迎えてくれるだろうか」「勉強だって、わからないことばかりでついていけないに決まっている」「もし行けたとしても、また行けなくなったら」等など、心配や不安の種は尽きないと思います。

明日、関東地方に上陸する台風についても、どうなるかはわかりませんが、母が想像している台風の方がおそろしいような気がしています。一般的に、現実よりも、想像している方がもっと不安ということもあります。人はプラスのことを考えるより、マイナスのことを考えるほうが得意だからです。

学校に行くことを考えたときに、反対の立場の人のことを想像してみるのもいいかもしれません。あなたが不登校ではなくて、不登校の友だちが、久し振りに登校してきた場合のことです。あなただったら、「よく、来たね。待ってたんだよ」と、すぐに友だちに声をかけることができますか。心の中ではそう思っていても、他の友だちの目も気になるし、なかなか勇気のいることではないでしょうか。

また、友だちの態度が冷たかったとしても、それは、あなたのことを嫌っているわけでも、あなたが悪いわけでもなくて、友だちが自分のことに精一杯で、あなたのことを気にかける余裕がないだけだと思います。
私の弟夫婦と同じだと思います。

無理して学校に行くこともないと思いますが、「先取り不安」と「自分が悪い」と思う発想からは、少しずつ、卒業できるといいですね。
そこから、何かが始まると思うのです。



共通テーマ:学校