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支配する愛 [アンおばさんの教育ミニコラム]

「家庭塾」に連絡してくる保護者の方々は、わが子の「する、しない」、「出来る、出来ない」だけを見て、子どもを評価する方はいなくて、「とにかく、学校にさえ行ってくれれば」、「普通になってくれれば」と願うに留まっています。

けれど、教育家族の親は反対で、多くは「出来るか、出来ないか」だけで子どもを判断し、出来が悪ければ非難したり、責め立てたりします。 偏差値の高い高校、大学に進学することが子どもの「幸せ」だと信じ、教育費に莫大なお金をつぎ込み、肉体的にも精神的にも子どもにかける労力を惜しまず、子どものために出来る限りの努力をします。

子ども自身も能力もやる気もあり、親子で考えが一致していて、共通の目標に向かって苦楽を共にすると、上手くいけば達成感も得られるし、家族の絆も深まり、未来も拓けるかと思います。
一方で、能力はともかくとして子どもにやる気がなく、親は頑張っているのに、子どもが期待に応えず、教育費ばかりがかさんで成果が得られないとなると、親は平静ではいられなくなります。
その場合でも、諦めることは出来ずに、子どもを勉強へと駆り立て、この時期さえ耐え抜けば、明るい未来が待っているはずと                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              信じて疑いません。
教育家族によく見られる例で、自分も親にそうやって育てられてきたから、「幸せ」は偏差値の高い学校に進学すること、一流会社に入り、豊かな生活を送ること、その価値観しかありません。
夫婦仲が悪く、愛のない冷たい家庭であっても、そこはあえて見ないようにして、豊かで贅沢な暮らしができればそれで良しとするのだと思います。

その種の親は、往々にして、子どもが言うことを聞かなかったり、思い通りにならなかったりすると、子どもに愛情を注げなくなります。 本来、親は子どもに見返りを求めるべきではないと思うのですが、「こんなに子どものためにしてやったのに何なの、この子は」とか、「裏切られた」と感じる親さえいます。

それは子どものためと言いながら、本当は自分のため、「子どもを支配する愛」と言えるのではないでしょうか。 それは愛とは言えないものですが、親は子どものためと思ってやっているのでそれを愛だと錯覚し、子ども自身もそれを親の愛だと信じているので逆らうことも出来ずに、親の期待に応えられなかった負い目もあって、青年期にさしかかる頃には、心を病んだり、引きこもりになる可能性もあります。
可能性ではなく、アンと親しい家庭教師の先生方の教え子にはそういう青年たちが少なからずいます。

最近、アンの知人の一人が「あんなに心配をかけておいて、あれほど尽くしてやったのに、恩を仇で返して。何なの。あの子は」と言って、子どもとの関係を断ってしまったという出来事がありました。
私は、「…のに」と思うことはやらないほうがいいと思っていますし、息子を亡くしたアンからしてみれば、親の意に沿わなくても、子どもが元気で幸せに暮らしていれば、それで十分という思いがあります。

「支配されている子ども」は、多くの場合、母親は否定したくても出来ない重すぎる存在です。 支配する親に育てられた子どもは、愛に飢え続け、自己肯定感を持てないまま、満たされない日々を送ることになります。
たとえどんなに子どもを愛していても、「支配する愛」が愛ではないことに、親も子どもも早く気づいて、関係を再構築してほしいと思います。
親も子も幸せにはなれないからです。



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生徒の合格祝い [受験]

1週間ばかり前になりますが、生徒2人の合格祝いを自宅近くのロイヤルホストでやりました。
1人はチャレンジ高校の受験から大学受験まで、3年半ばかり通って来ていたF子ちゃん。
もう1人は中学2年から高校2年の終わりまで4年間通って来ていた横浜の私立大学付属中学・高校出身のS子ちゃんです。

F子ちゃんは受験勉強をほとんどしていなかったのに、英検2級の資格と、国語の読解力が優れていたため、一般的には名前の知れている7つの大学に特待生も含めて合格しました。
(合格した大学については前々回の記事、「都立チャレンジ高校生の大学受験結果)


一方のS子ちゃんは、家庭塾をやめてから、難関大学の総合政策学部を目指して必死で頑張ったようですが不合格になり、浪人して再度、挑戦しました。
浪人すると聞いた時は、アンはハードルが高すぎると思ったのですが、偏差値が高いから選んだわけではなく、その大学のその学部に魅かれて、そこで勉強したいという強い思いがあったので、応援したいと思いました。
結果は不合格で、進学することになった大学は共通テストで受かった大学で、行きたいと思っていた大学ではなかったようですが、総合政策学部のある大学だったので、決めたようです。
S子ちゃんは本当によく頑張ったようで、そんな自分に満足していて、「後悔はしていない」と言い切っていました。
「家庭塾」に来ているときから暗記は大の苦手で、それは変わらないと言っていましたが「今は、英単語が一番得意です」と胸を張っていたことからも、S子ちゃんがどれだけ頑張ったかは想像できました。

F子ちゃんについては、S子ちゃんのように真剣に受験に取り組まずに、どこの大学のどの学部で勉強したいという明確な目標もなく、ただ少しでも偏差値の高いところに合格したいという思いしかなかったので、後悔ばかりが残ったようです。
そして、勉強しなくてもそれなりの大学に合格したのだから、浪人すればもっと偏差値の高い大学に合格出来る、そうしたいという思いが、大学入学手続きのぎりぎりまで消えませんでした。
アンも何回も浪人については相談を受けたのですが、断固として反対の姿勢を貫き通しました。
これまでろくに勉強してこなかった生徒が、浪人したからと言って、急に勉強するようになるとは思いませんでしたし、スタミナ的にも精神面でも無理だと思いました。
浪人したとしても、今年受かった大学にも受からない可能性もあります。

S子ちゃんは、これまで努力した経験を活かして、縁があって入学した大学でも頑張り続けることでしょう。そして、「この大学に入って良かった」と思える大学生活が送れると確信できます。
F子ちゃんは、都立チャレンジ高校と違い、朝からの授業もあるはずですし、まず休まずに通うことがテーマになるかと思います。
そして、偏差値ばかりを見るのではなく、入学した大学でどれだけ頑張れるか、自分の強みとなるものを身につけるかが問われるでしょう。

F子ちゃんも、S子ちゃんも家庭塾に何年も通い続けてくれた生徒なので、アンにも思い入れがあります。
自らの力で、明るい未来を築いていってくれること心から願っています。



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2024年度大学受験を振り返って [受験]

通常であればこの時期は「都立チャレンジ高校受験を振り返って」という記事を書いているのですが、ここ数年は該当する生徒がいなかったので、今回はチャレンジ高校生の一般受験を振り返ってみたいと思います。

一つ前の記事にも書きましたが、合格した大学は、
大妻女子大学、和洋女子大学、文京学院大学、昭和女子大学、東京経済大学、共立女子大学、清泉女子の7大学で、そのうち、和洋女子大学、文京学院大学、東京経済大学は特待生での合格です。

チャレンジ高校生としては立派な成績だったと思いますが、いい結果を残せたのは、受験した殆どの大学に英検2級の優遇措置があったこと、またF子ちゃんの現代文の読解力が優れていたことだと思っています。
また、共立女子大学は3科目受験でしたが、英語と現代文だけで受験できる大学に絞って受験したことも功を奏したと思っています。
英検2級の優遇措置がある大学を詳細に調べてくれたのはF子ちゃんのお父さんで、お父さんの協力は大きかったと思います。
アンは、受験結果が出るまで、英検2級がこれほど合格に寄与するとは知りませんでした。

F子ちゃんは大手の映像塾に席を置いていたのですが、課題が思うように進まず、2,3か月通っただけで、受験勉強の大半はアンとやりました。
英検については、高校1年で3級。高校2年で準2級、高校3年で2級に合格していました。英検の試験が近づく2か月ほど前からはそれに向けて集中的に勉強しましたが、英作の配点が高いので(英作文を一つ書くだけで、語彙やreadingやlisteningの分量と同じ配点が得られるため)、特にそこに力を入れました。リスニングには苦手意識があったのですが、英文の流れをつかむ練習を繰り返し、何とかクリアしました。
また、現代文は得意だったのですが、記述はそれほどでもなかったので、大事な文章に線を引いて読むことと、要約に力を入れました。

今回の受験については、F子ちゃん自身に頑張って合格したという意識は少なく、消化不良の部分が残っていて、浪人して、さらに偏差値の高い大学に入りたいという気持ちもあるようです。
けれど、アンはそれには反対しています。
F子ちゃんは疲れやすく、スタミナがなくて、学校から帰るとすぐ寝てしまって、家庭塾に遅刻するのも昼過ぎまで寝ていて起きられないからです。
たとえ予備校に通うにしても、自宅で一人で勉強できないことも理由になります。

F子ちゃんの問題点は、2時間余りの遅刻は毎度のことで、合格するためには、それぞれの大学の過去問を徹底的にやるのが一番の近道だと思ったのですが、それを宿題に出しても殆どやってきませんでした。
遅刻も家で勉強しないこともあまりに酷すぎると思ったので、12月に入ってからのことだと記憶していますが、アンは一度だけ本気で怒って、指導をやめると宣言したことがありました。
その後しばらくは遅刻しないようになりましたが、お父さんによると家ではほとんど勉強していないとのことだったので、これまでの週1回、2時間の授業を倍の4時間から5時間に増やして、家庭塾で過去問を解くようにして、間違った問題を説明して、再度解くようにしました。
また、3科目受験もあったので、世界史の勉強はアンもやるようにして、1問1答形式で2カ月ばかり取り組みました。
世界史についてはF子ちゃんも頑張ったと思います。学校の授業が午後からの日は午前中1時間ほどラインで世界史の授業をしたこともありました。
世界史だけでなく、F子ちゃんの受験する大学の過去問はすべてアンも解いたので、アン自身も受験生になったような気分でした。
チャレンジ高校の受験と比べると数倍も大変でした。

アンが幾度となく、努力しないで大学に合格するのは良くないし、やめる可能性があると言ったので、そこはF子ちゃんも気にしているようでした。
そこで、最後に受験した昭和女子大学に関しては、1週間ほどでしたが、アンは一切関わらず、F子ちゃん一人で頑張ってみることを勧めました。
これまでよりは頑張ったようです。

たとえ不合格であっても、頑張った経験はその後の人生に役に立つと思っているのですが、F子ちゃんについてはそうは言えない部分が残念です。

けれど、高校2年でお母さんを突然亡くしたF子ちゃんのつらさ、大変さを思うと、仕方がなかったという思いもあります。
しばらくは家がお通夜みたいに暗かったと、アンに話してくれたことがあります。
お母さんが元気な頃はもっとやる気もあったし、遅刻もしていませんでした。
そう考えると、精神的にきつい中で、F子ちゃんなりに頑張ったのだと、十分に認めることが出来ます。

これまでのことは引きずらずに、F子ちゃんが入学する大学で、本来の自分を取り戻し、まずは勉強を頑張ってほしいと思っています。
心機一転、きっとやれると信じています。
その理由は、上記にスタミナがないと書きましたが、土壇場になると力を発揮するタイプだからです。
受験した8大学も1日だけでなく、2日間、3日間、受けた大学もあります。
2月上旬は毎日のように試験を受けていました。かなりハードなことなのに、それがやれたことはすごいと思っています

最後になりますが、お父さんは仕事をしながら、願書の提出をはじめ、いろいろな面で本当によく頑張ったと思います。
それだけに、お父さんは結果に大満足しているのではないかと思われます。
心から労を労いたいです。


都立チャレンジ高校生の大学受験結果 [受験]

チャレンジ高校の受験の時から3年半余り、家庭塾に通い続けていたF子ちゃんの大学の受験結果が全て出揃いました。

1月の共通テスト利用入試から始まり、一般受験は1月、2月、3月とありました。

合格した大学を受験した日付順に列挙すると

大妻女子大学、和洋女子大学、文京学院大学、昭和女子大学、東京経済大学、共立女子大学、清泉女子の7大学でした。
そのうち、和洋女子大学、文京学院大学、東京経済大学は特待生での合格です。

チャレンジ高校生としては立派な成績だったと思います。

不合格だったのは学習院女子大学でした。
学習院女子大学は2026年に学習院大学と統合されることが決まっているので、倍率もこれまでになく高くなっていて、F子ちゃんが受験した日の倍率は11倍でした。
入学は学習院女子大学でも卒業が学習院大学になるので、そこに多くの受験生が魅力を感じて、志願者が殺到したのだと想像できます。

F子ちゃんは数日内に進学する大学を決めなければなりませんが、多分、東京経済大学か昭和女子大学になるかと思います。
アンも予想をはるかに超える良い結果が出てうれしいです。


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叶井俊太郎さん死去のニュース [息子]

漫画家の倉田真由美さんの夫でプロデュ—サーの叶井俊太郎さんが亡くなったという記事をヤフーニュースで読みました。
漫画家もプロデュ—サーの名前も私は殆ど知りませんでしたが、叶井さんの記事は気になって読んでいました。
それは叶井さんが、1年8カ月ほど前にすい臓がんステージ4であることを知ったときからです。

アンの息子がすい臓がんで亡くなったのは、ちょうど叶井さんがガンを宣告された頃でした。
知り合いや、マスコミに登場する人がすい臓がんだと知ると、その度に心が騒ぎ、息子と同じ経過を辿って亡くなってしまうのだと思うとつらくなりました。

息子は幼い頃は手のかかる子どもで、成人してからは難病を2つも抱えながら生きていたので、母親としては心配が尽きませんでした。

けれど、年齢を重ねるにしたがって頼もしくなっていき、周囲から愛される信頼される大人になりました。
叶井さんと同じ、すい臓がんのステージ4と宣告された時も、「僕は負けない。嫁さんを一人残して逝けないから」と、きっぱりと言い切っていました。
そして、これまでも難病を抱えて生きてきたのだから、「これからも前に進むことだけを考えて生きていく」と言い、残された日々を精一杯生きることを自分に課していました。

仕事を続けることはできませんでしたが、勤めているお嫁さんに替わって、家事を一手に引き受け、特に料理は得意だったので、彼女の好きな献立を考え、お嫁さんのことだけを考えて頑張っていました。

不平やグチをいうこともなく、見舞いにきてくれる人たちにも常に笑顔を絶やさず、それまでと変わらず、前向きに生き続けました。
自分の一番の長所は「前向きなこと」と思っていたようですが、その通りでした。
息子の家は近かったので、毎日のように姿を見せていましたが、明るく、前向きな姿勢は崩さなかったので、私もどれだけ救われたかわかりません。

叶井さんと同じように、亡くなる10日ほど前までは比較的元気で、亡くなる数時間前にも遠方から見舞いに来てくれた友人とも楽しそうに話をし、それを自分で写真に収めていました。
容態が急変したのはその日の深夜のことで、帰らぬ人になりました。

最期の10日間ほどは、傍から見ていてもつらそうで、早く楽になってほしいと思ったことも正直な気持ちです。

最後まで前向きに、そして人を愛し、愛される人生であった息子のことを誇りに思い、息子が聞き取れたかどうかわかりませんが、「お母さんの子どもに生まれてきてくれてありがとう。〇〇のことを、おかあさんは誇りに思うよ」と心から言うことができました。

すい臓がんの最期はみな同じような経過をたどるのかもしれませんが、叶井さんの記事を読んで、息子の最後の日々がありありと思い出されました。

悲しみは永遠に消えないと思いますが、ここ半年ばかりは生徒の大学受験で紛れていた部分もあったのですが、それも終わりに近づいて、心に空いた穴を埋めるためにブログを書こうと思いました。

それでも私が沈み込んで暮らしていたら、息子が心配すると思うので、息子の言葉、「前に進むことだけを考えて生きていきたい」を支えに、気持ちを新たにしなければと思っています。



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2024年度チャレンジ高校の応募状況 [受験]


都立チャレンジ高校の応募状況が東京都教育委員会のホームページに掲載されていました。今年もまた家庭塾からの受験生はいませんでしたが、例年通り、下記に記します。
なお、募集人員、応募人員ともに男女は問われていません。また、応募倍率の(   )内は昨年2023年度のものです。

六本木高校 募集人員170 応募人員285 応募倍率1.68(1.62)

大江戸高校 募集人員170 応募人員261 応募倍率1.54(1.28)

世田谷泉高校 募集人員170 応募人員257応募倍率1.51(1.32)

稔ヶ丘高校 募集人員230 応募人員353 応募倍率1.53(1.26)

桐ヶ丘高校 募集人員170 応募人員186 応募倍率1.09(0.91)

小台橋高校 募集人員260 応募人員282 応募倍率1.08(0.93)

チャレンジ高校の倍率は年々下がってきていて、不登校や学力不振の生徒にとって魅力のある学校とは映らなくなったのかと想像していましたが、昨年に比べてどの高校も倍率を伸ばしているのはいい傾向だと思いました。

というのは、チャレンジ高校は「これまでの中学校には自分の居場所がなかった」、「中学は安心して通える場所ではなかった」という生徒にとってはやはり最適な学校だと思うからです。
それは「家庭塾」の卒業生を見ていても感じることです。

チャレンジ高校は一般の高校に比べて、勉強面も生活面も緩いと思いますが、チャレンジ高校を選んで受験する生徒、合格して通うことになる生徒には心を休める、癒しの場所になっていると思います。また、そういう空間や時期は必要であり、初めの一歩を踏み出しやすいのではないかと考えています。

反面、中学で不登校になってしまったものの、プライドが高かったり、上昇志向が強かったりする生徒にとっては、チャレンジ高校は一般の高校とは違うと思い、劣等感を持つてしまうこともあり得ます。
理由はどうであれ、自分がいる場所を否定するのは良くないと思っています。

避けたいのは、チャレンジ高校には何とか平和に通えていたけれど、卒業後に自分の行く道がわからずに進学した学校をやめてしまったり、引きこもりになってしまうことです。
そういうケースも多々あると聞いています。

チャレンジ高校で最初の一歩を踏み出すことに成功したら、それで終わらずに、その先の人生を展望して、何か一つでもいいので、自分の好きなこと、興味が持てることを探して、それに取り組んでほしいと心から思います。


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2024年  あけましておめでとうございます [受験]

あけましておめでとうございます。
元旦早々、能登で地震や津波が起こり、穏やかなお正月を迎えることはできませんでした。
アンは常々、特別にうれしいことや楽しいことがなくても、家族仲良く、健康で暮らせればそれが一番だと思っていたのですが、それも簡単なことではないと、去年、息子を失って実感しました。

このブログを読んでくださっている方々が、この一年、普通に穏やかに過ごせることを願っています。ブログを書き始めてからかれこれ15年以上経ったと思いますが、長年、読んでくださる方もいるようで、累計数も70万近くになってきました。
ありがとうございます。

ところで、メインでやってきたチャレンジ高校の受験生は今年もいませんでした。
けれど、チャレンジ高校の受験生であれ、大学の推薦入試やAO入試、または一般受験の生徒であっても、目の前の生徒や保護者の要望に応えて、最善を尽くすというのがアンのスタンスなので、今は一般受験をする高3の生徒の指導に力を注いでいます。

受験科目は英語、現代文、世界史の3科目なのですが、世界史に関しては指導経験もなく、学生時代は苦手な科目だったので大変です。


それに加えて、チャレンジ高校の受験以来、通い続けているF子ちゃんが12月に入ってもやる気スイッチが入らず、かなりひどい遅刻も毎度のことだったので、このままでは受験は無理と考え、悩んだ末に指導の中止を申し出ました。
F子ちゃんは、アンが脅しで言っているのではないことがわかったのか、年末になってやっと、態度を改めて勉強するようになりました。

英語については、英検の優遇措置を利用出来る大学に特化し、古文は勉強していないので現代文のみの大学を選びました。 問題は世界史でした。 11月時点でも全く手をつけていなかったのですが、11月、12月の2か月間で、世界史を必死に勉強して、何とか志望大学に合格する計画を立てました。

それにはまず、アンが世界史を必死に勉強する姿を示すことだと思いました。 生徒にただ「勉強しなさい」と言うだけでなく、アン自身がやってみせることが大事だと思ったからです。

世界史の教科書を最初からやっている時間はないので、ネットで(一度読んだら絶対に忘れない)「世界史の教科書」という本を見つけ、まずはそれで世界史の流れをつかむことにしました。
一般的な教科書とは違い、すべてを数珠つなぎにして「一つのストーリー」にしていると書かれているように、わかりやすいことは確かでした。

アンは現時点で2巡目の半分位、生徒はもうすぐ2巡目を終わるところです。
理解して覚えたつもりでも、いくつかの大学の過去問をやってみると正答率はまだまだです。
世界史だけでなく英語や現代文も、志望大学の過去問は全てやっているので、チャレンジ高校の受験生の指導より、はるかにハードです。

受験まであとひと月、とにかくやるしかないと思っています。
アンの姿を見ながら、F子ちゃんも頑張って、たとえ合格出来なくても、あきらめずに努力することを学んでくれたらと願っています。
受験で頑張った経験があるかないかで、その後の人生が変わってくると思っているからです。


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英検2級で優遇措置を受けられる大学は多い [受験]


少し前の記事で都立チャレンジ高校に通う生徒が英検2級に合格したことを書きました。英検2級が大学受験で有利に働くことは知っていましたが、英検2級は高校卒業レベルなので、ある程度の高校に通っている生徒なら取得していると思っていました。

ところが、12月に入って生徒の志望大学を選ぶ際に、思っていた以上に、英検2級で優遇措置がある大学が多いことに気づきました。
生徒が通っていた大手の塾(8月からは欠席が続いていますが)の先生によると、その塾でも英検2級を取得している生徒は2~3割で、大学受験の勉強に追われていると英検受験まで手が回らないとのことでした。
また、英検2級は高校生には難しいとも言っていたそうです。

英検だけでなく英語の外部試験で優遇措置を受けられる大学は数多くありますが、例えば日東駒専では駒澤大学が2級以上で75点換算、東洋大学が80点換算で、英語試験を受験しなくてもいいようです。

得点換算とは、英語試験が免除されることで、加点とは英語試験の得点+グレード別に加点されるそうです。

女子大では名の知れた大学でも優遇措置がある大学が多数あり、生徒は自分が真剣に受験勉強していないこともあって自信が持てずに落ち込むばかりでしたが、ここのところ気持ちが上向いてきました。
12月に入ってからはこれまで週1で2時間だった家庭塾の授業を5,6時間に増やし、平日も1日だけですが、ラインでやる授業を取り入れてやっています。
これだけでは不十分で、間の日に、過去問を出来るだけ解くようにアドバイスしているのですが、自分でする勉強はまだまだです。


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一人では勉強出来ない [受験]

最近の記事に「家庭塾が必要な生徒」を書き、「やる気がない生徒」と「やっても出来ない生徒」に触れましたが、それ以上に「一人では勉強出来ない生徒」こそ、家庭塾が必要な生徒だと、現在、大学受験の生徒と接していて改めて思いました。

ここのところ途切れていますが、アンが15年以上中心にやってきたのは都立チャレンジ高校の受験生の志願申告書の作成や作文、面接の練習でした。
生徒は「一人では作文が書けない」という理由でアンのところに来るのですが、作文が苦手というより、自宅でこれまで一人で集中して勉強する習慣がなかったことも大いに関係していると思っています。

思い出すのは、昨年まで4年間も、横浜から東京のアンの家庭塾まで2時間以上かけて通ってきていたS子ちゃんのことです。
S子ちゃんが通っていた大学付属の中学、高校は暗記が中心の学校で、それが極端に苦手なS子ちゃんは、自宅付近の塾や、何人かついた家庭教師の先生もお手上げ状態で、アンが引き受けてもしばらくはどうしたものかと指導に悩むほどでした。
けれど、少しずつですが、出した宿題は必ずやってくるようになって、10時から、昼食もはさんで3時位まで、出来ない箇所や、理解していない項目をチェックすることに時間を費やしていました。
間にはかなりの雑談も入れましたが、感心なことに、S子ちゃんが長時間の授業に根を上げることはありませんでした。
そしてその間に、S子ちゃんは学習習慣が身につき、家庭塾をやめて通い出した地元の塾でも頑張って、大学には合格したものの、第一志望の大学ではなかったために浪人することを選びました。
S子ちゃんの頑張っている姿をご両親も認めたからこそ、浪人することを許したのだと思います。
ひと月ほど前にS子ちゃんにラインをしたら、必死で受験勉強に励んでいる様子が伝わってきました。
S子ちゃんの第一志望は超難関大学ですが、S子ちゃんは偏差値が高いからその大学に行きたいのではなく、どうしてもその大学の○○学部で勉強したいから選んだのです。
来年の入試でS子ちゃんが志望大学に合格出来るかどうかわかりませんが、それには関係なく、S子ちゃんの未来は明るいと思っています。
やる気と根性が身についているからです。

一方、現在通って来ているF子ちゃんには、やる気も根性もありません。
もともと、やる気というのは人がみな持っているものではなく、「やっているうちにやる気が出てくるもの」だと思うのです。 少なくとも家庭塾に来る生徒はみなそうです。

F子ちゃんは、受験間近のこの時期になってもまだやる気が出ていません。 むしろやる気を失っています。
一番の問題は睡眠です。
勉強しているわけでもないのに真夜中、あるいは朝方まで起きているので、アンの家庭塾にも午後まで寝ているので、2時間ほど遅刻するのはいつものことです。
ここ2週間ばかり、それを改善しなければならないと思い、夜早く寝るようにして、午前中に家庭塾に来てもらうようにしました。
一人で家で勉強できないのなら、上記のS子ちゃんと同じように、長時間、アンと一緒に勉強することでしか、受験に臨めないと思ったからです。
ところが、午前中に来ても、眠くてたまらないらしく、家庭塾でも起きていられず寝てしまって、どうにもなりませんでした。

F子ちゃんは去年、お母さんを亡くしています。 いくら寝ても眠いのも、よく泣くのも、精神的なものかもしれません。 だとしたら叱っても効果はないと思うので、アン自身がF子ちゃんのことをあきらめないで、受験の日まで伴走していくしかないと思っています。
多分、一番つらいのはF子ちゃん自身で、アン自身の根気も問われています。



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チャレンジ高校から初の英検2級合格 [受験]

10月に実施された英検で、チャレンジ高校の受験からこれまでずっと通って来ているF子ちゃんが英検2級に合格しました。
F子ちゃんは「2021年 都立チャレンジ高校受験を振り返って」で記事にした生徒です。

チャレンジ高校に合格してから、高校生になっても精神面のサポートや英語の勉強を兼ねて通って来る生徒はこれまでもいましたが、チャレンジ高校から英検2級に合格した生徒はF子ちゃんが初めてです。
英検2級には高校卒業程度の学力が必要で、難関高校はともかくとして、普通の高校に通っている生徒でも楽に取得できる級でもないので、F子ちゃんは頑張ったと思います。

なぜなら、F子ちゃんは中学の時はほとんど不登校で、中学で学習する範囲はやっていないに等しかったからです。
高校の授業も中学の復習から始めますが、アンのところにも週に1回通って来て、中学の復習からやりました。
準2級までは順調に進んでいきましたが、英検2級は前回の試験では不合格でした。

英検については、過去問を使って、単語、文法、長文問題、英作文などを宿題に出して、それをやってもらいました。
英検2級を取得していると、大学の一般入試でそれが加点されて有利に作用する大学もあるので、今回は合格することが必須だと思っていました。
これまでの勉強量が圧倒的に少ないので、英検については作戦を立て、苦手な語彙にはあまり時間をかけずに読解問題と英作文で点を取るようにしました。
リスニングも苦手だったのですが、とにかく慣れるしかないので、聞く前にあらかじめ英文を読んで理解して、聞き取れそうもない単語はマークしておいて、それからリスニング問題を解きました。

大学の一般入試まで約2か月、現在のところF子ちゃんは頑張っているとはとても言えない状況です。志望大学の過去問も宿題に出しているのですが、やってきた試しがありません。
大手の映像塾も8月からほとんど行けなくなっていて、気持ちばかりが焦って、間に合わないと不安ばかりが募り、眠れない状態が続いています。
本人もご家庭も浪人も視野に入れているようですが、今やる気がないのに、浪人したからといってやる気が出るとは思えません。
押したり引いたりしながら、F子ちゃんの受験に向けて、アンも苦戦中です。
頭の能力より、やる気の能力が必要だと痛感しています。