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笑顔の行方(6) [笑顔の行方]

プラスを数える

母が我が家で暮らすようになってから約半年が経ちました。
母が私の家に来た理由は、40年以上住んでいた母の家が東京都の道路計画にひっかかって一時的な立ち退きを迫られ、取り壊されることになったことが発端でした。
必然的に、母は一緒に住んでいた弟一家と共に仮住まいの住居に引っ越す羽目になり、その無理がたたって腰の持病が悪化して、病院に入院することになったのです。
その後は、これ以上の回復は望めないとの医師の判断で退院を余儀なくされ、日中、家人のいない自宅で生活するのは不可能ということで、比較的に家にいることの多い私が、母の介護を引き受けることにしたのです。

すでに道路工事も終わって、先月から母の家は新築工事が始まりました。
新しい家が完成するのは9月ですが、母が暮らしやすいようにバリアフリーの設計にしてあって、母の部屋も十分な広さで確保されることになっていました。

ところが、9月になって新居が出来上がっても、母は自分が建てた家には帰らずに、私の家にずっといることが、2月の時点で決まりました。
当初、母が帰るつもりでいたようですが、私はこのまま私の家が母の終の棲家になるのではないかと思っていました。
歳を取ったら、どこに住むか、どんな家に住むかより、誰と一緒に住むかを最優先に考えたほうがいいと思っていたからです。
実の娘と暮らすのが一番いいとは、一般的にもよく言われていることでもあります。

母が私の家で暮らすようになって、母のプラス点を数えてみました。

①自宅にいた時には、弟一家が住んでいた2階にはもう5年近くも上って行くこともなかったのに、今では1日に10回以上も、2階と1階を上り下りするようになった。(今はぎっくり腰になってしまったので、それも出来ませんが…)

②私と一緒に近くを散歩するようになって、以前と同じように花の美しさに目が向くようになった。

③合わなくなった入れ歯を調整してもらうために、近くの歯医者さんに通えた。

④かかりつけ医を、自宅近辺から私が住んでいる町の医院に変更し、同時に健康診断も受けられて、腰以外に問題ないことがわかった。(うつ病の症状がまだ少し残ってはいるものの…)

⑤その結果、血圧も正常、コレステロールも高くないことがわかり、2種類の薬を減らすことが出来た。

⑥よく食べるようになったので、体重も3キロほど増えた。

⑦かかりつけ医が変わったことで、お嫁さんに1時間以上もかけて薬を持ってきてもらう必要がなくなり、私が取りに行けるようになったんもで気をもまなくてもすむようになった。

⑧住民票も移さずに、介護保険が適用されることになったのでヘルパーさんに入浴介助を頼めるようになった。

⑨1ヶ月に1度の割合で、美容院にも通えるようになった。

⑩体の状態が悪い時でも、三度の食事が確保されている。食事の時間帯も母に合っている。

⑪朝から晩まで一人で不安な時間を過ごしていたのに、週に2、3回、私が仕事で出かけることはあっても、数時間で帰って来るので、心細さが少なくなった。

⑫我が家はどの部屋も出入りが自由なので、比較的に疎外感を持たないですむ。

⑬実の娘の私にはわがままや、言いたいことがいえる。

⑭私の夫や息子も母にやさしいので、居心地は悪くないと思われる。

⑮身内にさえ会いたいと思わなかったのに、息子たちやお嫁さん、孫娘に会うことを拒まなくなった。

⑯「スイマセン」より「ありがとう」の回数が増えた。

⑰そして、極めつけは、明るくなったこと。自分の形勢が悪くなった時など、ぺろっと舌を出すなど、昔のひょうきんな面が出てきたことなど。

上記に書いたことが、私から見た母のプラス点ですが、母は自分自身ではこれらのことが認められずに、自分のマイナス点ばかりをあげつらいます。
息子にも、「おばあちゃんは上の方の高い所ばかり見ていないで、目の前の自分のプラス点を数えるようにしたらいいのに」と言われてしまいました。

不登校や、ひきこもりのあなたたちも、母と同じように自分のマイナス点ばかりを数えてはいませんか。
1年前には出来なかったのに出来るようになったことを、昨日とは少し違う自分のことを、または明日から変わろうと思っている自分のことを、プラスの方向から見つめ直してみてはどうでしょう。


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