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バッテリー 1 [不登校、ひきこもりのあなたへ]

夏休みに読んでほしい本があります。あさのあつこ著の「バッテリー」(角川文庫、514円)です。あなたが小学校の高学年以上であれば、夢中になって、ほんの数時間で読み終えてしまう本だと思います。
私は、もうおもしろくて一気に読んでしまいましたが、あなたにとってはおもしろくもないし、主人公の巧を「いやな奴」だと思って、途中で読むのをやめたくなるかもしれません。
それでも、投げ出さないで、最後まで読んでほしいと思います。どこが気に入らなかったのか、どうしておもしろくないと思ったかを、できれば教えてもらいたいと思うからです。(メールをもらえたらうれしいです)

以下に、簡単なあらすじを書いておきます。

主人公の巧は、中学に入学する直前の春休みに、祖父が住む岡山県と広島県の県境にある新田という地方都市に引っ越してきました。
巧は天才ピッチャーとしての自分に絶対的な自信をもっていて、甲子園に出場する高校生にだって自分の球は打てないだろうと思っています。他人の気持ちなど全く関係がなく、自分の気持ちだけを大事にして、言いたいことを言い、行動します。
これほどに傲慢で、協調性のない子どもがいたのか、と感心するくらいです。誰に対しても(親に対してさえ)、自分を理解してもらおうなどとは思っていないので、孤独ですが、本人はそんなことは全く気にしていません。

そんな巧の前に、巧の剛速球が受け止められるキャッチャー永倉豪が現れます。
豪は、巧と同学年ですが、性格は正反対で、他人を真正面から思いやることのできる、強くておおらかな少年で、巧の弟の青波にも温かい気持ちで接します。
青波は巧のことを信頼し、慕っていますが、巧には、青波のことをうっとおしく思う気持ちがあります。

小学4年になる青波は、生まれつき体が弱いのですが、母親の真紀子にとっては、生きて、そこにいてくれるだけでいい、と思える存在です。一日中、青波のことだけを心配していて、青波を守るためにだけ生きているといった感じです。
一方の巧に対しては、「わたしがどう思ってるなんてこと、巧には関係ないの。大人なのよ。自分だけを信じてるみたいなところあるもの。すごいと思うわ。ぞっとするくらいよ」と、自分の父親であり、巧の祖父に当たる洋三に向かって言っています。

豪は、巧の球を受けられたことで、その出会いを運命的なものだと感じます。巧の球を自分のミットで受けたときの感触、心の高ぶり、誇らしさは、豪の心を熱くします。
巧は巧で、自分とバッテリーを組むのは、豪しかいないと直感しました。
けれど、天才ピッチャーの巧に出会ってしまったことで、豪は自分のキャッチャーとしての力を思い知らされることになり、自分と向き合うことの苦しさを身をもって体験していくことになるのです。 
                                 ――「バッテリーⅡ」に続く――