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どの家庭も問題を抱えている [アンおばさんの教育ミニコラム]

人生が思い通りにいかないことは、年を重ねれば重ねるほどわかってくることです。
これは、子育てに置き換えてもわかることだと思います。
「子育てが思い通りにいかない」ことは、子を持つ親なら誰でも経験することでしょう。
「なぜ、ウチの子は親の言うことを聞かないのか」、「よその子と比べてウチの子は」「友だちと上手く遊ぶことが出来ない」「勉強面で他の子より遅れている」「発達障害かもしれない」「学校に行かない」など、子どものマイナス面は親の心配や不安の種になり、それが成人に達したわが子のこととなればなおさらのことでしょう。

「どの家庭も問題を抱えている」と書きましたが、それは他人事ではなく、アンの家庭にも当てはまることです。
アンの望みはただ一つ、アンと夫、そして娘夫婦、息子夫婦が健康に暮らすことです。
ところがこの望みは何としても叶わないのです。
もともと難病をもっていた息子の病気が悪化し、令和を迎える前に勤め先を辞めざるを得なくなってしまったからです。
病気が回復する可能性はありません。これから先、どう生きていけばよいのか、息子本人はもちろん、母親のアンとしてもそのことを考えると、心配は募るばかりです。

そんな折に、息子に「本当に、どん底だね」と言ったら、息子から「(お嫁さんの名を言って)Aがいるから」という返事が返ってきました。
アンはその言葉に救われました。事あるごとにアンに電話やメールをしてくるお嫁さんで、頼りになるとは言えないのですが、お嫁さんの存在自体が息子の支えになっているのだと実感しました。
また、落ち込みながらも息子が前向きな気持ちを失わないでいてくれること、打開策を見つけるために動いていることも、前に進む手立てになると信じたいです。

さらに、息子は現在の苦しい状況を家族や友人はもちろん、近い親戚や知人、公共機関にも出向いて相談できていることも、苦しい状況にあっても立ち上がるきっかけにはなるはず、と祈る思いで見守っています。
仕事を辞めざるを得なくなった当初は、中学生の時に行った長野の山村留学先にも遊びに行き、新鮮な空気を体いっぱいに吸い込み、昔からいる温かいスタッフたちに励まされ、元気をもらって帰ってきました。

アン自身も息子のことは何でも話し合える数人の友達に聞いてもらっています。
自分の胸の中に収めておくだけでは苦しくなるだけだからです。
アンの友だちも同様です。
友だちと会う時はいつも、年齢と共に低下していく自身の体のこと、そしてそれぞれの家庭の問題についてお互いに話をしながら、「問題のない家庭なんていない」と共感し合っています。


ところで、この5月に起きた川崎のスクールバス殺傷事件、6月の元事務次官の息子殺害の事件も記憶に新しいことですが、この事件を耳にした時、アンの脳裏には、阪神大震災の時に亡くなった知人のOさんのお嬢さんのことが浮かびました。
だいぶ以前のブログにも書きましたが、お嬢さんは中学の時に不登校になり、その後は亡くなるまで家に閉じこもったままで、Oさんに暴言を吐いていて、Oさんもお嬢さんも精神を病んで、二人で精神科に入院したこともあったといいます。
アンとOさんは頻繁に手紙のやり取りをしていたのですが、アンがこの事実を知ったのは、お嬢さんが亡くなったずっと後のことで、それもOさんの隣人から聞かされてのことでした。

Oさんも彼女の夫も10年以上前に亡くなりましたが、恵まれない家族だったいう思いを、いまだに捨てきれません。
その当時、アンが力になれたかどうかはわかりませんが、一人で悩んで精神に変調をきたす前に、誰かに話を聞いてもらったり、相談したりしていたら別の方向に進む可能性もあったかもしれないと思うからです。
Oさんからは一度、「夫とは離婚したいと思うけど、世間体が悪いでしょう」という言葉を聞いたことがあります。
ご主人の人となりはわからなかったのですが、世間体などという実体のないものに振り回されて生きることは、アンには出来ないと思った記憶があります。

けれど、世の中には言いたくても言えない人、苦しみや悩みを抱えながらどうすることも出来ずに生きている人が大勢いるといることも想像できました。
自分の言いたいことを言って生きられるのは幸せなことかもしれないとも思いました。

多かれ少なかれ、どんな家庭でも問題を抱えて生きていると思うのです。
それが大きくなりすぎて自分の家だけで解決できないと思ったら、追い詰められて子どもが自分を傷つけたり、他人を傷つけてしまうことになる前に、助けを求めてほしいと切に願います。
アン自身の家庭の問題だけでなく、社会に目を広げれば、子ども、特に幼い子どもたちが大人によって、命を落としたり、傷つけられたりすることがない社会になってほしいと思っています。
幼い子どもを傷つけてしまう大人は許せませんが、彼らも生きづらい環境の中で育ち、大人になっても不安や悩み怒りなどを、誰にも話せず、また信頼して話せる相手も周囲にいなかったのではないかと想像しています。

いずれの場合も、信頼できる相手を見つけるのは簡単ではないかもしれませんし、人を頼るには勇気がいるかもしれませんが、外に向かって声をあげることが、前に進む一歩だと思います。
手前みそになりますが、アンがお勧めできる相談機関は、過去にアンも学び、現在も会員になっている下記のNPO法人です。

「日本子どもソーシャルワーク協会」(東京都世田谷区)
[電話]03-5727-2133 http:/www.jcsw.jp/kodomo-sw@jcsw.jp




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