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キャットストリート [テレビ]


NHKテレビで毎週木曜日の夜8時から放映される「キャットストリート」を楽しみに見ています。
このドラマの紹介ページには、「不登校の若者が集まるフリースクールを舞台に描く奇跡の青春群像」と書いてありました。

私は原作が漫画だということを知らないで見始めたのですが、主人公をはじめとした若者たちの心情がていねいに描かれているので、ぐいぐいとドラマの世界に引き込まれていきます。
若者たちが人との関係で傷ついたり、心ない同世代の友だちを憎んだり、温かい仲間たちの存在で元気を取り戻したりしていく様子にもリアリティーがあって、彼らが立ち直って行くのを心から応援したい気持ちになります。

2回目の先週は、友だちとの関係で傷つき、10歳の時から7年間引きこもっていた主人公の恵都が、何の屈託もなく変わらない態度で接してくれる同級生の大洋から、「小学校の時は好きだった」と打ち明けられ、彼に恋心を抱きます。
自分の家では家族から除け者にされ、自分を否定しながら感情を押し殺して生きてきた恵都でしたが、過去の自分に好意を寄せる人間がいたということを知っただけで、気持ちが明るくなるのは十分に理解できることでした。

フリースクールで出会い友だちになった紅葉の応援もあって、高校のサッカー部で頑張っている大洋を応援に行ったり、自分でお弁当を作って差し入れようとしたりします。
ところが、すでに大洋には付き合っている女の子がいて、恵都はあえなく失恋してしまいます。
その時、恵都は自分の時間は7年間も止まっていたけれど、大洋の時間はずっと動いていたのだということに気がつきます。
恵都の失恋の痛手は半端ではなく大きくて、自殺してしまうのではないかと紅葉が考えるほどのものでした。

絶望感が恵都を襲い、もうだめだと思った時に、フリースクールの仲間の一人、浩一が言いました。
「甘えるな。みんながどれほど心配して、お前を探し回ったのかわからないのか!」
浩一の言葉を聞いて、恵都は、自分は一人ではない、自分のことを心から思ってくれる友だちがいたのだということを実感します。

このドラマの不登校の若者たちもそうですが、私は不登校の子どもたちは、純粋で真っ直ぐな心と、やさしさを持っていると思っています。
それは人間してはとても価値があることなのに、多くの場合、彼らは自分のよさに気づいていません。私はいつもそれが残念でたまりません。

一方、不登校の子どもたちは人との関係で傷つき、恵都のように、他人に対する憎しみと怒りで心が占められていて、そんな自分のことを自分でも好きになれずに苦しんでいます。

この7月末から、私の「家庭塾」に通って来ている生徒も、同じようなことを言っていました。そして、自分は生きる価値のない人間だと……
そんなことは決してないのです。
私はちょっと話しただけで、彼女が心のきれいな、やさしい女の子だということがすぐわかりました。

そんな彼女でしたが、最近になって大きな変化がありました。いろいろな人と出会っているうちに、考え方が変わったのだといいます。
恵都が信頼できる仲間たちに出会って、今は何がやりたいのかわからないけれども、何かをやりたくなった状況と似ています。

不登校や引きこもりを解決する方法があるとしたら、このドラマの若者たちと同じように、傷つきながらも勇気をふりしぼって再び人の前に出て行って、そこで新しく人間関係を作り直していくことしかないように思います。
人との関係によって傷ついた心が、今度は人との関係によって癒されていくのです。
その場合も、相手に合わそう合わそうとするのではなくて、自分の直感や感性を信じて、これはと思う相手にはぶつかっていって、信頼関係を築いていくのです。
それもネットや携帯電話ではなく、生身の相手に面と向かって自分の気持ちを真っ直ぐに伝えることだと思います。


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