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中学受験と教育虐待 [アンおばさんの教育ミニコラム]

かなり以前から、家庭教師の先生から東京23区の中学受験が過熱しているとは聞いていましたが、朝日新聞に「中学受験と教育虐待」が9月4日から3回連続で掲載されていました。
読んでいて、すごく心が痛みました。

家庭教師の先生が引き受ける中学受験の生徒は、塾に通いながら、家庭教師にも来てもらいそのフォローをしてもらっています。塾の勉強がわからなかったり、そのスピードについていけないから依頼するのですが、多くは医者の家庭、上場企業に勤めている裕福な家庭が多いようです。
親が上昇志向で子どもを潰している家庭は、家庭教師が訪問している限り、潰れると思って、引き下がらせてもらうか、とことんやるかどちらかだといいます。
彼女の場合はとことんやる場合が多くて、受験前の1,2カ月は学校も休んでもらって、泊まり込みでやる場合も多々ありました。それでも、精神的なフォローもしていたので、生徒も救われる部分がありました。
1度、私も彼女の生徒を手伝って教えたことがありますが、親は成績がよくなると、「先生は神様です」と崇め立てたりしますが、一たび成績が悪くなると、責め立てられます。
みんながみんなそうではないでしょうが、その経験から中学受験はこりごりと思いました。

「中学受験と教育虐待」の記事では、親が限度を超えて子どもに勉強を強制し、時には暴力や暴言を伴い、子どもの心身を深く傷つけることがある、と書かれていました。
見出しだけ抜粋すると、「医者になれ」父が指図し、小1から塾、難関大は不合格、体調崩す
教育虐待、父と同じこと、私も娘に――期待に応えられなかったダメな自分のようにならないで
子への将来に焦り、怒りに――解答ミスに爆発、表情消えた長女

上記の例は子どもが不登校になったり、自傷行為を繰り返したり、将来的にも親子の関係がうまくいかなくなったりしています。

なぜ、こうなるのか。
多くは親のブランド志向、経済上昇志向、将来的にいい大学、いい会社に入れたい、女の子の場合は、ハイスペックの男性を捕まえたいなどの理由があるようです。

私にも苦い経験があります。
ふた昔以上前のことですが、学校の成績がひどく悪い息子のことが気になって、長女が行き始めた塾の塾長に相談したら、「そういう子は高校受験でより、中学受験するほうがはるかに簡単。3年後に同じ高校に入ろうとすれば偏差値は10程度上がる」ということでした。
愚かな母親であった私は塾長の口車に乗せられ、息子を中学受験へと追い立てたのです。当時は、クラスでも1,2名程度しか中学受験をする生徒もいなかったのですが、私は昼間は塾の教材と格闘しながら、息子が帰宅すると教えていました。
けれど、学校の勉強についていけない子が塾の勉強についていけるはずがありません。
そうは思いつつ、あまりの出来の悪さに私も声を荒げることが多くなりました。
そんなある日、私が買い物から帰って、炬燵に寝てしまっていた息子を見ると、頬に涙、メモ用紙に「つまらない」の文字が書かれているのに気がつきました。
その時、このまま中学受験を続けていたら、息子の人生は一生、つまらないものになってしまうと思いました。
「息子にそんな人生は送らせたくない!」

それからは方向転換して、息子を中1から山村留学に出すことにしました。
当時、「母原病」という言葉がありましたが、このまま息子を手元に置いておいたら、過保護すぎて息子を潰してしまうと思ったからです。

その息子は1年間の山村留学で生きる気力を取り戻し、頼もしくなって帰ってきました。
そして、その時出会った仲間たちやスタッフとは30年以上、付き合いが続いていて、息子の一生の財産になりました。
幼い頃は手のかかる心配が絶えない子どもでしたが、成長するにしたがって、明るく、前向きな、頑張れる子に変わっていきました。

そんな息子は2年前ガンで亡くなってしまいましたが、苦しくても泣き言も言わず、変わらずに前に進むことだけを考えて懸命に生き、本当に立派でした。
愛おしい、自慢できる息子です。

金持ちになること、いい大学、いい会社が全てではないと思います。
人を愛し、人から愛される息子の人生はしあわせだったと思えるからです。


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